最近のエントリー
- 2024年
- 2023年
- 2022年
- 2021年
- 2020年
- 2019年
- 2018年
- 2017年
- 2016年
- 2015年
- 2014年
- 2013年
- 2012年
- 2011年
- 2010年
- 2009年
- 2008年
尿検査したいけど、どうおしっこ取ろう??
23年02月28日
当院に診察へ来られた患者さんはもう耳にタコができるほどお伝えしていると思いますが、動物の健康状態を知るには尿検査はとても重要な検査です。早期の腎障害や尿路出血、糖尿病、糸球体疾患など尿検査によって分かる病気はとても多く、血液検査や画像検査などを併せて診断するためのツールになります。検査に適した尿は正しく採れている必要があり、最も診断精度が高いのは膀胱穿刺(お腹から膀胱に針を刺して採る方法)による尿ですが、毎回実施するのもどうかと思いますので、やはりご自宅で採尿できるに越したことはないと考えます。
ワンちゃんの場合は比較的シンプルです。お散歩ではなるべく砂やゴミが混入しないように採尿していただきたいです。ペットシーツなどを使用している子はペットシーツをひっくり返し撥水加工になっている面を上にして、ワンちゃんが排尿したところを素早く回収していただければ採尿が可能かと思います。
猫ちゃんの採尿は多くの飼い主さんの悩みの種です。猫ちゃんはとても警戒心が強いため、尿を採ろうと身構えて待っているとなかなか排尿してくれないものです。あまり警戒しない猫ちゃんなら、排尿している最中にトレイなどをそっとお尻の下にいれて直接採る方法がうまくいくかもしれません。あるいはワンちゃん同様ペットシーツを裏返しにしたり、サランラップを猫砂の上に敷く方法は試しやすい方法かと思います(猫砂は少なくしておいてください)。あとはシステムトイレを使用する方法もあります。上段の猫砂を通過して下段のペットシーツに吸収されるものですが、下段のペットシーツを取り除いておくと尿が溜まるため採尿できます。
尿は時間経過とともに変性してしまうため、なるべく速やかに病院で検査してください。すぐに持っていけない場合は冷蔵庫に保管してください。尿検査は繰り返し実施して経過を追っていく場合もありますので、うまく採れるように練習していきたいですね。
T.S.
トムとジェリー症候群とは
23年02月13日
動物が出てくるアニメや映画は数多くあると思いますが、特に有名なアニメ作品で言うと「トムとジェリー」をご存知の方は多いかと思います。体が大きく短気な猫のトムと、体は小さいが賢くトムを欺くネズミのジェリーのドタバタ劇を描いた作品です。
とても面白く、見たことない方は一度ご覧いただけたらと思いますが、この二人の名前がついた病名があるのをご存知でしょうか?
通称「トムとジェリー症候群」と言い、正式には「猫聴覚原生反射性発作」と呼ばれるものです。ネズミの発する超音波域の声が猫に発作を誘発させてしまうというものです。実際には声ではなく、それと同等の高音が原因で発作が出てしまうというものです。特に誘発された代表的な音としてはアルミニウムを丸める音や金属製のスプーンと陶器が当たる音が挙げられます。それらにより一時的に発作が出るので、対策としては条件となる音を出さない、続くようなら抗てんかん薬を飲むなどの方法があります。
好発品種が認められるため、遺伝性を強く考えられますが、明確な要因はわかっていません。
更なる研究が期待されます。
H.F
運動障害(不随意運動)から見た異常な行動について
23年02月05日
不随意運動とは、自分の意志で制御ができる運動器に認められる様々な動きの総称であり、ヒト分野有名なものはパーキンソン病があげられる。この疾患は大脳皮質、基底核、小脳などのおおまかな動きから、細かい動きを制御する箇所での関与が認められており、治療薬などがあるが、動物ではそのほとんどが解明されていない。今回は動物で見られる不随意運動の中の一部を紹介します。
①キャバリアの発作性転倒:主に四肢の硬直を示して、そのまま起立困難になります。その見た目から"deer stalking"と形容されます。発作と勘違いされがちですが、症状は運動やストレスがかかった状況がトリガーとなり発生し、この間意識レベルは正常です。この点が発作との鑑別点になります。発症年齢は3~7か月齢で一般的にトリガーとなる状況を避けることで抑えることが出来、度合いによりますが治療は必要無いです。
②ドーベルマンの舞踏病:ドーベルマンに認められる、立つときに足踏みするように交互に足を屈曲-挙上する動きをする疾患です。患肢のニューロパチーやミオパチーが原因と言われています。
③特発性頭部振戦(head bobbing):発作性転倒と同様に、運動やストレスなどがトリガーとなって発症する頭部の震えで、その特徴は張り子の虎のように頭部がリズミカルにブルブルと震えると言う点です。同様に発症中の意識レベルは正常で、飼い主とも目を合わせることが出来たり、歩いたりもします。多くは2歳未満のボクサーやフレンチブルドッグ、ドーベルマンなどで認められます。一般的に治療は必要なく、発症したら安静にしてストレスをとりのぞくことで治まります。どうしても止まらない、コントロールが不良の場合はレベチラセタムを使用します。
④高齢犬のよる振戦:高齢の日本犬やテリア系の犬種では起立時において、後ろ足がプルプル震えるというのが特徴であります。座っているときや、寝ているとき症状は出ません。
具体的なメカニズムは分かっておらず、放っておいても何ら問題はありません。
他にも、ジストニアやミオクローヌスなど様々な運動障害が存在する。運動障害の診断には、具体的な症状の前後の様子、トリガー因子はないか?症状が出ている部位を確認したり、MRIにおいての形態学的な異常や脳波の異常を確認して、発作との違いを確認することが大事になってきます。発作かな?それともこの不随意運動?と思ったら、来院の際に動画を持参頂くと診断に早く行き着くかもしれません。
RI