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最近のエントリー

各種シンポジウム、セミナー、学会参加情報、
最新の獣医療などを掲載。

10月20日 摂丹獣医師会学術講習会 伊藤暁史先生 麻酔について

24年10月30日

10月20日 大阪公立大学 獣医臨床センター麻酔科長伊藤暁史先生のセミナーを郷の音ホールにて行いました。人工呼吸における麻酔管理、筋弛緩薬を使った麻酔管理、周術期管理について(術前、術中、術後の評価)お話しいただけました。普段毎日行っている麻酔ですが改めて確認することができ、より安全な麻酔をする上において大変勉強になりました。 S.S

9月22日岸上獣医科病院75周年記念の会

24年09月24日

岸上正義先生が、大阪市に小動物診療の先駆けとして動物病院を開業されて75年経ちました。その間にたくさんの獣医師たちが巣立っていきました。正義先生には、この仕事に携わっていくためのたくさんのものをいただきました。感謝しかありません。症例発表会に、引き続いて講演会があり岸上義弘先生の再生医療のご講演、イヌ臍帯由来培養上清液についてのお話とともに、私も「猫の甲状腺機能亢進症における内科・外科療法の検討」という題目で発表させていただきました。猫の甲状腺機能亢進症の摘出手術が臨床の世界に広がっていくことを期待いたします。ますます獣医学が発展しすばらしいものになっていくことを祈念いたします。

S.S

日本獣医麻酔外科学会 第1回近畿地区講習会

24年09月15日

2024年度日本獣医麻酔外科学会 第1回近畿地区講習会 (2024.9.15)

準備すれば怖くない!ハイリスク麻酔症例への挑戦~内分泌・循環器疾患編~

石塚友人先生(VES合同会社代表)

田中翔先生(大阪公立大学獣医臨床センター特任臨床講師)

 

 2024年度第1回近畿地区講習会がI-siteなんばにて開催されました。講習会では初となるオンラインとのハイブリッド開催でした。

石塚先生は内分泌疾患の麻酔管理について講義していただきました。クッシング症候群ではやはり血栓塞栓症リスクが高く、普段から実感していることが確認されました。また糖尿病患者でも合併症がとても多く、血圧を維持することの重要性が分かりました。

田中先生は循環器疾患における麻酔管理について講義していただきました。動脈管開存症では出血リスクの高い症例においてニトロプルシドやニカルジピンを使用することで血圧を管理し、術中の出血管理をすることで手術が容易にすることができるのは目から鱗でした。

 私、須藤も講習会の担当委員として諸々の業務を行うとともに、症例検討では「インスリノーマの犬における麻酔管理」を発表いたしました。石塚先生、田中先生にご意見いただき、また会場の先生方からも質問をいただき良い症例検討になりました。参加いただいた先生方、協賛企業様、地区委員の先生方のご協力のおかげで無事に講習会を終えることができました。これからも日本獣医麻酔外科学会・近畿地区委員としての仕事を頑張りたいと思います。

 

T.S.

8月8日兵庫県開業獣医師会第12回 ざっくばらんケースレポートミーティング 「知っておきたい頭頸部の外科介入」 堀切園 裕 先生(岐阜大学)

24年08月08日

今回は岐阜大学 応用生物科学部 付属動物病院 先端獣医療学 堀切園 裕 准教授に「知っておきたい頭頚部の外科介入・呼吸器編」についてご講演していただきました。近年フレンチブルドックが増えることにより短頭種症候群の手術を頻繁に行うようになりました。外鼻孔狭窄に対する手術に鼻鏡楔状切除術、パンチ切除形成術、鼻翼固定術、鼻翼切除術の説明、軟口蓋過長に対する手術として切除する時のデバイスの選択、軟口蓋が厚くなっているときのフラップ形成術の説明、気管虚脱に対する手術の方法など興味深く拝聴しました。一般的な症例に対しての手術、特殊な症例に対して一つの方法だけでなくいろいろと選択肢を考えていくことにより難治症例に対処することが必要であることを改めて考えることができました。 質問がたくさん出るのがこのセミナーの売りですがそのことにより深くできるように思います。  S.S

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7月25日 葉月会 画像診断学セミナー 戸島篤史先生

カテゴリー:セミナー

24年07月25日

肝・膵・腎の重要な超音波画像 

戸島篤史先生 日本小動物医療センター/公益財団法人RADLINE 

 

今回は犬猫の腹部超音波検査についてのセミナーでした。中でも肝臓・膵臓・腎臓の3臓器に焦点を当て超音波画像所見を体系的に解説していただきました。 

肝臓腫瘍は日々の診療の中でもよく遭遇する病気ですが、結節性過形成と呼ばれる非腫瘍性疾患から悪性腫瘍までさまざまな疾患が鑑別診断にあげられます。もちろん超音波検査のみではそれら腫瘍の鑑別をすることはできませんが、すみやかに針生検など積極的な精査が推奨される重要所見を解説をしていただきました。セミナー内では、超音波検査だけでなく血液検査やレントゲン検査の結果など実際の症例のデータなどから鑑別診断を考える時間もあり、非常に有意義なセミナーとなりました。 

超音波検査は検査者の臓器を描出する技術も大事ですが、重要な画像所見を見極めるチカラや異常所見を見逃さない目が大切であると感じました。戸島先生も「意識的に見ていない物は容易に見逃す」とおっしゃられていたのが印象的でした。超音波検査は毎日行う検査のひとつであり、さっそく実践に活かしていきたいと思います。 

D.N. 

7月17日 犬膵炎急性期用抗炎症剤「ブレンダ®」セミナー

カテゴリー:セミナー

24年07月17日

石原産業株式会社 北浦康弘 様 

 

石原産業株式会社の商品、犬膵炎急性期用抗炎症剤「ブレンダ®」をご紹介いただきました。 

膵炎とは、消化酵素を分泌する臓器である膵臓が何らかの理由で炎症を起こし、全身性の炎症および多臓器不全を引き起こす病気です。臨床症状としては食欲の低下や腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状がみられ、重症例では死亡することもあります。 

「ブレンダ®」は有効成分としてフザプラジブナトリウム水和物を含み、白血球の血管壁への接着並びに組織浸潤を抑制し、膵炎に伴う過剰な炎症反応を緩和する効果があります。 

実際に臨床試験では炎症反応の低減や臨床症状の改善が認められ、急性膵炎への有効性が証明されました。 

また、膵炎以外にも肺炎や角膜炎、口内炎などといった症例でも効果があったとの報告もありました。 

今回のセミナーの内容を踏まえ、今後の治療に活用していけたらと考えています。 

 

S.S 

6月6日 第11回ざっくばらんケースレポートミーティング 岩手大学南雲隆弘先生に「犬の会陰ヘルニアの術式を考える」

24年06月06日

兵庫県開業獣医師会(ベッツひょうご)第11回ざっくばらんケースレポートミーティングで今回は岩手大学南雲隆弘先生に「犬の会陰ヘルニアの術式を考える」をテーマに講演を行っていただきました。会陰ヘルニアは、高齢の未去勢オスに発症しやすい代表的な病気で手術方法がいろいろありますが残念ながら再発しやすい病気でもあります。いろいろな状況に応じての手術方法の選択と再発しにくいような工夫、筋肉が萎縮しているような重症症例に対しての方法などいろいろご紹介いただきました。参加した会員も苦労している人もおおかったとみられたくさんの質問がたくさんでて参考になりました。この会は会員同士が意見交換情報共有できるようどんな質問も遠慮なくできればというコンセプトで録画もせずおこなっています。毎回すばらしいない講演内容で公開していないのがもったいないくらいですが。期待しています。  S.S 

6月2日 日本獣医再生医療学会 第19回年次大会

カテゴリー:セミナー

24年06月02日

 横浜ワールドポーターズで開催された第19回日本獣医再生医療学会年次大会に参加してまいりました。メインテーマは慢性腸症に対する幹細胞療法についてでした。近年幹細胞療法は様々な疾患に応用されていますが、特に注目されている疾患のひとつです。大阪公立大学の鳩谷先生が慢性腸症の概要、東京農工大学の大森先生が慢性腸症の食事療法やプロバイオティクスについて講義していただき既存治療について再確認できました。PARMの福田先生、日本獣医生命科学大学の手嶋先生に慢性腸症に対する幹細胞療法について講義していただきました。幹細胞療法は総じて3040%の症例に有効で、若い犬のほうが有効率が高いようです。柴犬は難治性慢性腸症が認められますが、やはり幹細胞治療においても反応は芳しくないようです。基本となる食事療法等に併せた治療の選択肢として当院でも検討できたらと思います。

 基調講演として株式会社ビジョンケアの高橋政代先生の講義がありました。iPS細胞を用いたヒト網膜の再生医療についてでしたが、再生医療が標準治療になるためにどうすれば良いのかを常に考えておられ、情熱を感じた素晴らしい講演でした。Min Koo先生の韓国における動物医療と幹細胞治療についての講演もとても興味深いものでした。

 来年は第20回目となる記念大会になるそうなのでとても楽しみです。

 T.S.

3月21-24日 世界獣医がん学会

カテゴリー:セミナー

24年03月24日

 世界各国に獣医がん学会が存在し、日本では1994年に日本獣医がん研究会が発足、そして2009年に日本獣医がん学会へと移行しました。これら組織をまとめる世界獣医がん学会連合会があり、45年に1回各国で世界獣医がん学会が開催されています。2020年に日本で開催予定でしたが新型コロナウイルス蔓延により中止となり、今回2024年に晴れて第4回大会を開催できることとなりました。

 全4日間の期間中は世界の研究者たちの研究発表が中心で、スペシャリストによる基調講演がありました。ほとんどの発表が英語でしたが、同時通訳のレシーバーも配布されたため、英語に疎い私でもなんとか発表についていくことができました。

印象に残ったのはやはり獣医病理界のレジェンドであるDr. Peter F. Mooreでした。今でもなお難治疾患である組織球性肉腫の研究の第一人者であり、先生の研究の歴史や造詣の深さに感銘いたしました。最終日では犬の尿路上皮癌に対する分子標的療法について東京大学の前田真吾先生と、Dr. Deborah W. Knappの講義でした。ベヌラフェニブ、ラパチニブ、モガムリズマブなどいくつかの分子標的薬が使用可能になりはじめ、尿路上皮癌の1年の壁を超えられるのも現実的になってきたことをうれしく感じました。

 日本、欧米、アジアなど多くの参加者で大会は非常に盛況でした。これからも最新の情報を取り入れてアップデートしていきたいと思っています。

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T.S.

3月17日 2023年度日本獣医麻酔外科学会 第2回近畿地区講習会

カテゴリー:セミナー

24年03月17日

2023年度日本獣医麻酔外科学会 第2回近畿地区講習会

ここまでは知っとこ!動画で理解する短頭種気道症候群

末松正弘先生(AMC末松動物病院)

柴田早苗先生(岐阜大学)

 

 短頭種とはフレンチブルドッグなどの鼻が短い犬種のことをいいます。これらの犬種では鼻腔、喉頭、気管などの気道が狭くなっていることが多く、それによりうまく換気できずに呼吸困難になってしまう病気を短頭種気道症候群といいます。症候群という名前なので、ひとつではなく複数の異常が合併していることがほとんです。今回は小動物呼吸器外科のトップランナーである末松先生と、岐阜大学で麻酔を専門にされている柴田先生による講義でした。

 末松先生は動画を中心に、呼吸様式から手術の術式まで細かく解説していただきました。柴田先生は日常的に使われている麻酔方法を、メカニズムやメリットを含めて抗議していただきました。総合討論では各先生方が日頃から疑問に思っていることを会場で共有し、良いディスカッションができました。

 また私、須藤も近畿地区委員として講習会をお手伝いしました。今回初めて参加させていただきましたが多くの先生方とお知り合いになることができ、これからの麻酔外科学会や、近畿地区のさらなる発展に貢献できたらとますます思いを強くいたしました。

 

T.S.

2月4日・第10回兵庫県開業獣医師会WEB講習会・WEB研究発表会

24年02月05日

2月4日(日)日本小動物医療センターセンター長/小動物腫瘍外科アドバイザーの廉澤剛先生の「肝臓腫瘍その特性から特殊器具なしに攻略する肝臓外科」のご講演をしていただきました。内容的には組織から生検、診断、手術まで広範囲にわたり、やや難しいものの非常にわかり易く脈管系の説明から手術手技の説明までしていただきました。そのあと研究発表会を廉澤先生と日本大学獣医放射線学研究室の合屋征二郎先生をオブザーバーとしてお招きしました。当院からは院長が「猫の甲状腺機能亢進症の評価および考察」という演題で発表を行いました。多数の手術数から統計をだしたものです。猫の甲状腺機能亢進症の治療は外科手術が推奨されることをこれからも広めていきたいと思っています。  S.S

12月17日・摂丹獣医師会 日本大学外科学教室、浅野和之教授講習会

23年12月18日

12月17日、日本大学浅野和之教授の講習会がありました。日本を代表する外科医の講習会ですので毎年楽しみにしております。午前中は胸水貯留液疾患の最新情報「膿胸と乳び胸というタイトルでした。猫の乳び胸に関しては従来からいわれていた外科治療法に関してずいぶん考え方が変わりました。午後からはいろいろな疾患のビデオをつかった講習でした。手術の電気メスやバイポーラなどの使い方には術者それぞれ個性があります。電気メスの使い方がとても勉強になりました。 

S.S

第107回日本獣医麻酔外科学会学術集会

23年12月10日

 第107回日本獣医麻酔外科学会学術集会が愛知県名古屋市にて開催され、参加してまいりました。前回の大宮大会もそうでしたが参加者がとても多く活気に満ちた学会でした。

 整形外科シンポジウムでは猫の脊椎・脊髄疾患についてのシンポジウムでした。猫はあまり脊椎・脊髄疾患に遭遇する機会が多くないため興味がありました。脊髄硬膜外動静脈瘻は血管奇形のために生じる若齢猫で疼痛を呈する疾患で、MRIだけでなくCT検査にて異常血管を見つけることが重要ということがとても印象的でした。

 軟部組織外科部門では下部尿路の腫瘍についての講義がありました。膀胱腫瘍の外科は侵襲の大きさと術後管理の大変さからなかなかハードルが高いものです。いま話題の分子標的薬についてのトピックもあったため、情報を整理することができました。

 対面方式での学会開催はやはり多くの刺激を受けることができます。学会開催後もオンラインにて各プログラムを視聴することができるため聴講できなかった講義を視聴することが可能です。また学会後は交流会にて多くの先生方とお話することができました。それもまた良い刺激になりました。これからの診療に活かせる学会になりました。

T.S.

第44回 動物臨床医学会年次大会

23年11月19日

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11月18日-19日、第44回動物臨床医学会年次大会が大阪国際会議場で開催されました。
当院からも獣医師、動物看護師が多数参加させていただいたため、当日は完全予約制とさせていただき患者様にはご不便をおかけ致しました。
期間中は数多くのセミナーや症例発表が行われました。
各々興味深い分野を聴講し、最新の獣医療における知識を得ることができ、たいへん充実した2日間となりました。
ここで得たものを院内でも共有し、日々の診療において皆さまに還元できれば幸いです。
今回、 雄犬の生殖器疾患を見直してみよう 〜前立腺疾患、精巣腫瘍 というステップアップセミナーを拝聴しました。
雄の生殖器疾患には、先天性のもの、後天性のものがあります。
後天性の疾患の多くは、若年齢での去勢手術である程度の予防が可能であることが知られており、雌の避妊手術とともにおすすめさせていただいております。
去勢手術は、特殊な症例を除けば比較的短時間で済む手術です。
雄性行動の抑制や腫瘍の発生頻度を下げることに貢献し、最終的には寿命の延長に繋がります。
しかしながら、健康な身体にメスを入れるという点で不安に思われる方もいらっしゃると思います。
メリット/デメリットを含めてわかりやすくインフォームさせていただき、少しでもご心配を減らした上で、大事なご家族のために最適な選択をしていただけるよう努めていきます。
S.K

9月25日JAHA腫瘍学(オンデマンド)を視聴しました

23年09月25日

リンパ腫から固形癌まで、困難な腫瘍との戦い方

腫瘍内科再診アップデート

松山 新 先生
米国獣医内科専門医(腫瘍科)
アジア獣医内科学専門医(腫瘍科)
サスカチュワン大学 助教

リンパ腫や肥満細胞腫など普段の診療でよく遭遇する腫瘍に対する内科的なアップデートについて講義していただきました。 

内容としては基礎的なグレード分類から最近の論文を含めた抗癌剤の治療成績に関してのお話や、実際に先生がどのような治療を行っているかなどより実践に即した内容まで幅広い内容を聞くことができました。 

癌という病気は完治するものではなく、また抗がん剤に関してもどうしても後ろ向きな感情を持ってしまいがちではあります。きちんとした根拠を説明させていただき納得した上で、病院と飼い主様とで協力しながら治療を行っていけたらと思っております。 

そのためにも今回勉強したことをしっかりと吸収し、フィードバックしていくとともに、今後もしっかりと勉強してきたいと思います。 

 

S.A 

KYOTO ARセミナー  前十字靭帯断裂に対するTPLO法

カテゴリー:セミナー

23年09月24日

前十字靭帯断裂に対するTPLO

岩田 宗峻 先生 東京医科歯科大学

  KYOTO AR主催の実習型セミナーに参加してきました。近年では模型を用いたドライラボが盛んになっており、講義だけでなく実際に手を動かして技術を学べるセミナーが増えております。今回は前十字靭帯断裂に対するTPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)についてのセミナーでした。

 前十字靭帯断裂は動物病院でよく遭遇する疾患で、前十字靭帯の変性、断裂により後肢の跛行を呈するものです。手術法がいくつか考案されており、ラテラルスーチャー法やTPLO法が手術法として選択されます。人の脛骨は大腿骨に対して垂直に位置していることからもともと前十字への負荷が少ないらしいですが、動物の脛骨は大腿骨に対して斜めに位置しており、そのせいで脛骨が前方へ滑るように負荷がかかるため前十字靭帯への負荷も増大します。TPLO法は、大腿骨に対して斜めだった脛骨を、水平方向になるように骨切り・移動させることで脛骨の前方変位の力を低下させ膝関節を安定化させる手術法です。つまり人の膝に近づける手術、ということになります。

 TPLO法には独自の器具が必要であり、理論もそうですが器具の扱いにも慣れが必要です。講師の岩田先生は前半部分では理論の説明を分かりやすく講義していただき、後半部分ではTPA測定や術式を解説していただきました。実際にはランドマークとなる部位が見えないことや、重要な血管を傷つけないようにするなど各種注意点も指導していただきました。

 このような実習型セミナーに参加すると良い刺激をもらうことができます。これからの診療に活かしていこうと思います。

 T.S.

9月18日 志学会年次大会に参加してきました

23年09月18日

今までの術後管理に外科代謝栄養のエッセンスをプラスしよう!

酪農学園大学 鳥巣 志道先生 

志学会の獣医師セミナーに参加してきました。 

今回のご講演は、たびたび志学会で講義をしてくださっている鳥巣先生による外科代謝栄養に関して詳しくお話していただきました。 

外科代謝栄養というと聞きなれない言葉ではありますが、外科手術において麻酔やそれ自体がどのように体の代謝に影響を及ぼし、それに対してどう付き合っていけばよいのか。

高齢の動物に対する麻酔にかんして等、普段の経験で確かにあるある!でも具体的に説明するとなると難しい。

といった事を理論的に説明していただきました。 

そのうえで外科手術時のみではなく、肝リピドーシスや栄養失調時に不足し、転嫁するべきビタミンなどに関してのお話していただき、栄養学の知識のアップデートできたと思います。 

普段の診療ではあまり気にしていなかった分野の情報になるので今までの治療にプラスして意識していきたいと思います。 

 

S.A 

志学会 月例会

23年09月15日

角膜疾患の病態生理から考える治療のロジック

仁藤 稔久 先生 柏原どうぶつクリニック

 今月の志学会の月例会は、どうぶつ眼科クリニックで研鑽を積まれた仁藤先生による角膜疾患についての講義でした。角膜疾患はその激しい痛みからご家族がすぐに気づくために、動物病院では日常的に診察する機会がある病気です。主に角膜に傷をつける角膜潰瘍が多いのですが、皮膚の傷とは病態や治癒過程が大きく異なるため、まず解剖などの基本から立ち返って講義していただきました。

 治療のためにはまず確実な検査・診断が必要ですが、フルオレセイン染色やスリット細隙灯検査など画像を用いてわかりやすく解説していただきました。やはり細菌感染があると治癒に大きな影響を及ぼすため、抗生物質の使用は感受性試験なども実施する必要があると再確認いたしました。ドライアイについても分類や治療法について復習できました。日頃から私たちが実施している診断・治療法がさらにアップデートできたと感じました。

 日常的に遭遇する病気なだけに、このような基礎から見直す講義はとても有意義でした。先生の幅広い知識・ご経験にも感嘆いたしました。日頃の診察に活かしていこうと思います。

T.S.

8/20 志学会 症例検討会

カテゴリー:セミナー

23年08月20日

志学会 症例検討会

3年ぶりに対面式で開催されました志学会の症例検討会に院長、吉田、中山、大﨑の4名で参加させて頂きました。

コメンテーターには 奥田優教授山口大学 獣医内科学教室)、板本和仁准教授山口大学 獣医臨床診断学研究室)の2名の先生をお招きし、活発なディスカッションをさせて頂きました。当院からは、中山「腸管に腫瘤状病変を形成した猫伝染性腹膜炎2、大﨑猫の甲状腺機能亢進症における両側甲状腺摘出症例の評価およ考察」の2演題を発表させて頂きました。臨床経験豊富なからアドバイスや意見を頂き、コメンテーターの先生から最新情報基づいた意見を頂戴し、貴重な経験をさせていただきました。

また、他院の先生方から興味深い症例のお話を聞かせて頂き、大変勉強になり非常に有意義な時間となりました。本会で得た知識を持ち帰り、今後の診療に活かしていきたいと思います。

D.N.

志学会 月例会 2023年7月21日

カテゴリー:セミナー

23年07月22日

「犬の多中心リンパ腫の診断」

米地若菜先生(奈良動物二次診療クリニック)

 今月の志学会月例会は、犬のリンパ腫の約80%を占める多中心型リンパ腫の診断についてのセミナーでした。

 多中心型リンパ腫は、体表リンパ節をはじめとする全身性のリンパ節腫大、脾臓や肝臓などへの浸潤を特徴とし、病理学的詳細および免疫組織学的特徴によりさらに細分化されます。大きくB細胞性とT細胞性に分けられ、一般的にはB細胞性の方が予後が良いとされますが、B細胞性の中でも進行が早いタイプと遅いタイプが存在します。分類により予後や治療法が異なるため、正確な診断が重要ですが、細胞診だけでは診断がつかないタイプも存在し、その場合は組織生検が必要です。

 また、ステージ(病期)によっても予後が大きく異なるため、腫大しているリンパ節の部位や数、肝臓や脾臓への浸潤、末梢血や骨髄を評価する必要があります。リンパ腫の動物がしんどいのはただリンパ腫だからではなく、リンパ節の腫れによる圧迫や腫瘍の肺浸潤、DICなどが原因であるため、ステージング(病期分類)により動物がなぜしんどいのかを把握し、治療において何を優先するかを決めることが重要です。

 今回の講義により、多中心型リンパ腫の詳細な分類やステージングはリンパ腫のわんちゃんやねこちゃんのしんどさを軽減するためにとても大切であることを再認識しました。

Y.O.

7月8-9日 WJVF 2023 14th Annual Meeting

カテゴリー:セミナー

23年07月11日

 7月8日・9日にホテルニューオータニ大阪で開催されたWJVF(West Japan Veterinary Forum)の年次大会に参加させていただきました。

4年ぶりの現地での開催で、たくさんの先生方や愛玩動物看護師の皆さん、学生さんと一緒に講義を受けることができ、とても有意義な時間でした。

 講義は基礎的な知識を固めるものがほとんどで、より理解を深めることができました。また、救急の現場で活躍されている先生方の講義も大変勉強になりました。

 塗木貴臣先生(TRVA動物医療センター)による「エマージェンシーの鑑別と初期対応」の講義では、意識障害の鑑別として医学において有名な「AIUEOTIPS」の語呂合わせをもとに、A(急性肝不全、アシドーシス、急性血管障害)、I(高/低血糖)、U(尿毒症)、E(脳障害、内分泌、電解質)、O(低酸素)、T(外傷、体温異常、腫瘍、中毒)、I(感染症)、P(薬剤)、S(痙攣・失神、循環不全、低栄養)のそれぞれの病態と初期対応を学びました。救急の現場では「手を動かしながら頭も動かす」ことが重要であり、そのためには正しい知識と深い理解が必要であると実感しました。

 森田篤先生(大阪公立大学獣医臨床センター夜間救急診療科)による「食べると危ない!〜身近に潜む危険な物〜」の講義では、異物や毒物を摂取した場合の対応について学びました。病院に着いてからの対応はもちろん、ご家族からの電話への対応のポイントを教えていただきとても参考になりました。電話では、「いつ、何を、どれくらい」食べたかを聞くことは簡単ですが、誤食物に合わせてプラスアルファの質問やお願いをすることで病院に着いてからの対応をより良いものにできます。

 例えば、キシリトールガムやチョコレートでは商品によって中毒物質の含有量が異なるため、「食べてしまったものと同じものを持ってきてください」とお伝えします。人の解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェンは猫において犬より強い症状が出るため「動物種」を確認することが重要です。タバコの浸出液はタバコそのものより吸収が早いため、「来院までに水を飲ませない」ように伝える必要があります。またタバコは胃酸抑制薬により吸収が促進されるため「内服中の薬」があれば持ってきていただくと良いです。

 誤食物によっては毒性が強く、一刻も早く処置しないといけないものもあります。電話で聞くこと・伝えることは誤食物によって異なるため、毒物が引き起こす症状や特性を知っておく必要があると学びました。

 他にも多くの講義を受けることができ、良い経験になりました。今回得た知識を今後の診察に活かしていきたいです。

Y.O.

6月16~18日 第106回日本獣医麻酔外科学会学術集会

カテゴリー:セミナー

23年06月18日

 ホームページでもお知らせさせていただいておりましたが、6月17, 18日、日本獣医麻酔外科学会学術集会に参加させていただくため埼玉県大宮市に行ってまいりました。長いあいだ新型コロナウイルス感染症流行に伴い対面式の学会開催が中止されてきましたが、前回の福岡大会より対面方式が復活し、今回の大宮大会でさらに充実した学会開催となりました。

 軟部組織外科シンポジウムでは腸閉塞/腸重積についてでした。画像診断を駆使して早期に診断し、適切な外科手術を実施するかがやはり重要ということを再認識いたしました。腸切除後の短腸症候群については小動物領域においては意外と発生率が低いのではないかとする考察は興味深いものでした。

 麻酔・疼痛管理シンポジウムでは犬の僧帽弁閉鎖不全症における麻酔管理についてでした。麻酔リスク評価には多くの先生方が超音波検査にてしており、当院においても実施可能であるため参考になりました。またやはりバランス麻酔が大事であり、一つの麻酔薬だけでなく鎮痛効果を発揮する各種薬剤を組合わせて、吸入麻酔薬の用量を減らしていくことが大事だと理解しました。

 対面方式での学会開催はやはり多くの刺激を受けることができます。私もプログラム後に講師に質問させていただき、自分の疑問点を会場の方々と共有し、意見をいただけたことで大変勉強になりました。さらに学会開催後もオンデマンドにて各プログラムを視聴することができるようになりました。これは新型コロナ感染症流行前にはなかったシステムのため、アフターコロナにおける数少ない良い点なのかもしれません。

 学会後は多くの先生方と交流させていただきました。懐かしい顔に会って旧交を深めたり、新たに知り合う先生方との出会いで横の繋がりができるのが学会参加の醍醐味でもあります。患者さんにはご迷惑をおかけして申し訳ないですが、今後も機会を見て参加できたらと思っています。

T.S.

3月22日 兵庫県開業獣医師会セミナー「神経疾患の診断と治療」

カテゴリー:セミナー

23年03月30日

今回は岡山理科大学 獣医学部 外科助教 糸井崇将先生をお招きし、神経疾患の診断と治療という題目でご講演頂きました。

神経疾患を疑う症状として、ふらつき・発作・旋回・斜頸などがあります。診療において神経疾患を疑う場合には神経学的検査、レントゲン検査、CT検査、MRI検査などを行います。今回の講義では、神経学的検査の方法や評価のポイントを写真・動画を交えて丁寧に解説して頂き、神経学的検査の手技を再確認できました。神経学的検査は特別な道具や設備を必要とせず、どこでも実施できる基本的な検査ですが、正しく評価することで病変の場所や重症度を推定できるため、この検査の重要性を改めて感じることができました。

講義後半では、神経疾患の代表格でもある椎間板ヘルニアを中心に最新の情報も踏まえながら画像診断のポイントをご講義いただきました。神経疾患の診断のポイントを包括的にまとめて頂き、内容は盛りだくさんでしたが非常に分かりやすく、明日からの日々の診療に役立てるものばかりでした。

講義の後は、診断に苦慮した神経症状を呈する症例を持ち寄り、症例検討会を行いました。参加されている先生方のさまざまな意見を聞くことができ、大変興味深かったです。私も活発な討論に参加できるよう日々精進していきます。

D.N

志学会 月例会

カテゴリー:セミナー

23年03月17日

「ソレンシア」について

橋口順子先生(ゾエティス・ジャパン株式会社)

 今月の志学会月例会は、今年の2月に新発売されたソレンシアという注射薬についてのセミナーでした。すでに欧米などの世界では使用されているものですが、遂に日本にもやってきたという感じです。

 人では加齢とともに関節痛に悩まされますが、それは猫においても同様で、加齢、肥満、遺伝などにより関節に負担がかかることで変形性関節症に陥ります。12歳以上の高齢猫の関節疾患の罹患率は90%ととても高いにもかかわらず、猫はその症状が明白でなく、飼い主であるご家族でご自身の猫の関節炎を認識されている方はごくわずかといわれています。ジャンプをしなくなる、活動性の低下、グルーミングの減少、怒りっぽくなるなど日常動作に影響を及ぼしているのですが、それが単に加齢に伴うものと判断されているようです。

 ソレンシアはモノクローナル抗体による、関節症に伴う疼痛を緩和する治療薬です。いわゆるNSAIDsなどの痛み止めと異なり腎臓、胃腸などへの影響も最小限で、かつ1回の注射で1か月効果が持続します。猫は投薬が大変な子も多いため、この投与方法はご家族にとっては非常に利便性の高いものです。

 ソレンシアによる治療も大事ですが、まず猫の関節疾患をご家族に認知していただくことが重要かと思います。関節の痛みを発見するためのチェックシートなどもございますので、高齢猫を飼われているご家族は参考にされたら良いかもしれません。

 講義は動画も交えてとても分かりやすいものでした。今後の診察に活かしてまいります。

T.S.

志学会 月例会 2023年2月17日

カテゴリー:セミナー

23年02月17日

復習しよう!猫のリンパ腫に対する診断と治療

大阪公立大学 獣医内科学教室 大阪公立大学附属獣医臨床センター 内科診療科/腫瘍科

古家 優先生

今回は対面での開催でした。テーマは猫のリンパ腫に対する診断と治療についての復習ということで、猫のリンパ腫で多く遭遇するタイプの消化器型、鼻腔内リンパ腫、皮膚型リンパ腫を中心に解説していただきました。

消化器型リンパ腫は猫のリンパ腫で最も発生が多いタイプで、その中でもLow-grade、Intermediate〜High-Grade、そしてLarge Granularタイプと細分化されます。ここで多くの獣医師を悩ませるのが、このLow-Gradeリンパ腫と炎症性腸疾患の鑑別ですが、今回はその点についても詳しく解説していただきました。臨床症状エコー検査、内視鏡、病理検査などを組み合わせて判断するべきで、特にLow-Gradeリンパ腫では内視鏡において病変部位の肉眼所見を注視しつつ、採材部位も十二指腸と回腸をそれぞれ分けて採材すべきだという話も再認識させていただき、ケーススタディも混じえて解説していただきました。

鼻腔内リンパ腫は、実際の公立大学での放射線治療の実績も交えて生の声を聞くことができました。皮膚型リンパ腫は猫では稀ですが

数少ないケースで、治療は確立されていないため、局所であれば外科切除や放射線治療多発していればC C N UやC H O Pなどを検討すべきとのことで、ワクチンの注射部位に発生することもあるそうです。今後様々な報告にしたいです。

R.I

第27回日本獣医がん学会

カテゴリー:セミナー

23年01月29日

 年に2回開催される日本獣医がん学会の第27回学会は、久しぶりの大阪会場での会場開催となりました。徐々に学会開催も以前のような形態になりつつありますが、ウェブ上でも講義の内容を再び聴講できるなど、以前よりも利便性も増してハイブリッド開催の良い側面だなと感じました。

 メインシンポジウムは「がん終末期のケア」でした。終末期の動物の治療はさまざまな面でのケアが求められます。動物に対しては何より大事なのは苦痛を取り除いてあげることであり、それはがん治療に並行して実施することが重要です。緩和ケアという言葉は治療不可能な状態の子に行う治療という意味ではなく、がん治療と同時に行うことで生活の質を維持してあげるためのケアであり、これは人医療でも動物医療でも同じ考えに基づいていると感じました。また同時に動物だけでなく、飼い主さんへのケアも十分に考慮せねばなりません。やはり自分のワンちゃんや猫ちゃんが危ない状態に陥ったときに抱く飼い主さんのお気持ちは察するに辛いものです。人医療において、亡くなっていく患者さんといかに対話していくのか、現場に立ち続ける医師のお話を聞けて、とても胸を打つものがありました。

T.S.

1月27日 志学会Webセミナー 皮膚ケア用療法食「オールスキンバリア」のすべて

カテゴリー:セミナー

23年01月28日

今回は日本ヒルズ・コルゲート株式会社 奥田展子先生より皮膚ケア用の療法食として新発売された『オールスキンバリア』についてご講演頂きました。

診療で目にする皮膚疾患として、細菌・真菌感染、ノミ・ダニなどの外部寄生虫感染、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などが挙げられます。この中で食物アレルギーや環境アレルギーによる皮膚疾患においては、原因物質の特定のためにアレルギー検査をしたり、除去食試験の反応をみたりと個々のワンちゃんに合わせた療法食の選択に時間と費用がかかっていました。「オールスキンバリア」は、皮膚・被毛のケアをしながら、環境・食物アレルギーにも対応できる新たなフードの選択肢として期待されます。今回はオールスキンバリアの主な特徴を紹介します。

1つ目の特徴は、健康な皮膚を維持するために必要な栄養素が豊富に含まれていることです。皮膚のバリア機能の維持や役立つ必須脂肪酸(ω-3脂肪酸・ω-6脂肪酸)、ビタミンAや亜鉛などに加えて、抗酸化成分・ポリフェノール・卵を組み合わせた独自の栄養ブレンド"ヒスタガード"を含有しており、皮膚・被毛のための栄養素がたっぷり含まれています。

2つ目の特徴は、単一の動物性タンパク質として鶏卵を使用していることです。鶏卵は必須アミノ酸のバランスが良く、生物価が高い良質なタンパク質の摂取ができます。また、食物アレルギーの原因抗原として卵は稀であるため、より多くのワンちゃんに対応できます。

これまで「オールスキンバリア」を試したワンちゃんでは、引っ掻き行動が減少し、睡眠の質の向上や便スコアが良くなったという報告もあるそうです。

ただし、オールスキンバリアは既に卵アレルギーと分かっているワンちゃんにはおすすめされません。また、脂質が高いため膵炎の既往歴があるワンちゃんには推奨されませんが、あらゆる皮膚疾患でお悩みのワンちゃんに対応できる療法食の選択肢として期待されます。ご興味のある方はぜひ獣医師までご相談いただければと思います。

D.N

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日本獣医循環器学会12月17・18日開催

カテゴリー:セミナー

23年01月19日

心腎連関

第117回日本獣医循環器学会・認定医講習会に参加してきました。その中で特に興味深かった一部の内容を報告いたします。

心臓と腎臓は互いに密に関連していることは明らかです。僧帽弁閉鎖不全症になると心臓に多大な負荷がかかり、その負荷を軽減するために利尿薬が必要な場合があります。利尿薬を使うと腎臓に負担がかかります。今回、心疾患患者心臓と腎臓へのアプローチ方法を学びました

まず、心臓病が悪化すると咳をすることがありますが、その咳は本当に心臓由来なのか?呼吸器由来ではないか?と見極めることから始まります。心臓への治療を行っても改善せず、呼吸器疾患だったという話もよくあります

飼い主がペットの見た目の変化で気付きやすい点はリラックスしている時、つまり安静時の呼吸数です。(安静時:犬40回/分以下、猫30回/分以下)規定の回数を超えてくると呼吸が荒いと判断することもあります。その際はレントゲン検査がかなり有用となっており、判断基準となります。

また、心臓病は進行してくると腎臓病も併発するリスクがあります。心臓は全身に血液を送るポンプの働きをしており、特に僧帽弁閉鎖不全症患者における慢性心不全では腎臓への血流不全による尿細管障害や腎血流量の悪化を招き、慢性腎臓病を発症させる可能性があります。

 心臓および腎臓の管理のために現在の状況把握が大切になってきます。血液検査・超音波検査・尿検査や血圧測定が有用であり、それらに合った治療法がそれぞれあります。正しく把握して見極める能力が大切であると改めて認識しました。

H.F

V M Nオンラインセミナー〜「明日から役立つ」シリーズ〜腫瘍学編Vol17~28〜

カテゴリー:セミナー

22年12月24日

講師 瀬戸口明日香先生

今回のセミナーは遭遇しやすい腫瘍について、適切にご家族に説明できるインフォームドコンセントのポイントを中心に解説するシリーズです。

現段階では総論として、抗がん剤の使用における注意点や一般的な腫瘍随伴症候群について、各論では腫瘍リンパ腫、乳腺腫瘍、メラノーマ、移行上皮癌、血管肉腫に遭遇した際にご家族の方々に伝えるべき内容を腫瘍特性に沿って解説していただきました。

まず、「腫瘍」というのは言わずもがな、他の疾患よりも診断時のご家族の精神的負担が大きいのにも関わらず、進行が早いものが多いため様々な決断を早くしないといけない点が厄介です。そのため、我々獣医師はご家族のかたが理解しやすく、かつ納得のいく治療と検査を潤滑に進めて行く必要があります。どうしても、若手の経験が乏しい獣医師はこの「説明」という能力が欠如してしまいがちで、自身もセミナーを通して腫瘍を説明する際のポイントや心がけの点で足りていない部分を自覚することができました。さらに、今回のセミナーでは、そのような点を重点的に解説することに加え、Case Studyとして自分ならどう考えて、説明するかを考えるというコーナーもありセミナーを見ただけなのですが、その疾患を何通りか経験したかのような感覚になりました。このセミナーの経験を活かして、腫瘍だけでなく、その他の疾患に遭遇した際も動物とそのご家族に寄り添った説明と治療の選択がより最善のものになればと感じました。

来年以降もこのシリーズには期待させていただいています。

R I

12月13日兵庫県開業獣医師会症例検討会「診断に苦慮した症例~血液・内分泌疾患を中心に~」

22年12月21日

 当然のことのようですが、正しい治療を行うには正しい診断が必要です。しかし熟練した獣医師であろうといつでも正しい診断を下せるとはかぎりません。講師に山口大学の上林聡之先生をお迎えした今回のセミナーはそんな話題でした。

診断のエラーには見逃し・誤診・診断の遅れといった3種類があります。これらの診断エラーは獣医師個人の力量のみによらず、環境や設備、検査の精度、多過ぎる情報やその精度、伝達の成否、確信・思い込みによる認知バイアスなど様々な要因が関わって起こります。認知バイアスは、人間誰しもが陥る「認知の偏り」、つまり偏った見方・考え方の癖のことです。認知バイアスには様々な種類がありしかもそれらは同時・連続して起こり得ます(図)必要最低限のコスト(検査や通院にかかる時間、費用)で正しい診断をつけることは動物と飼い主さんにとっても最善なことです。 典型的な症状を示す患者が現れた時、普通は最もあり得る疾患をまず疑いますが、決め打ちで限定的な検査のみを行うと同時に見逃しや誤診の落とし穴が隠れているようです。
シグナルメントと赤血球の非再生像からNRIMAを疑った症例念のため追加検査したところ実はバベシア感染症だったと判明するまで100日かかった例
起立困難を示す他院からの紹介症例で、最初に内服中の薬をよく聞かなかったがために基礎疾患にある甲状腺機能低下症に気づくまで1年かかった例
6ヶ月齢不明熱を示す犬の症例で、ステロイドに反応するため経過観察と再発を繰り返すうちに診断が下るまで3ヶ月かかった例
この症例は最終的に先天性の下垂体機能不全による続発性副腎皮質機能低下症と診断されました。この間致命的な炎症性疾患に罹患するリスクを抱えていたことになります。

患者本人が言葉を話せぬ動物である以上、飼い主と獣医師が協力して治療を行うということが獣医療の真髄ともいえるのではないでしょうか再考・反省をかさねて、日々出会うひとつひとつの症例に丁寧に接していきたいと思いした