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猫の口腔内扁平上皮癌
21年01月25日
人も犬も猫も、口腔内にできるデキモノ・腫瘤は注意が必要なものが多く存在します。小型犬では悪性黒色腫(メラノーマ)の発生が多く挙動も悪いです。そして猫では扁平上皮癌という悪性腫瘍が多く発生します。
扁平上皮癌は主に歯肉や舌にできる癌です。遠隔転移は少ないですが、とにかく痛くて多くは潰瘍を伴うために猫は痛みで食欲が落ち痩せてだんだん弱り死に至ります。悪臭のあるよだれが増えて口の周りが汚くなり、また口を使うのを嫌がるために毛繕いが減り被毛がガサガサで汚くなります。まれに顎の骨が原発の扁平上皮癌もあり、その場合は顎の骨が大きく腫れあがります。
口腔内癌の治療は難しく、腫瘍が小さいうちは切除が対象になりますが、これは顎の骨ごと腫瘍を摘出しなければならず大きな手術になります。近年では小さい癌であれば外科的摘出で予後が良いとの報告も出ています。しかし巨大な腫瘍の場合は摘出は難しく、チューブでの食事管理や痛みの緩和など対症療法にならざるを得ない症例も多いのが現実です。有効な抗がん剤はありません。また高齢で発見されるケースがほとんどのために慢性腎不全などの他の病気の管理も必要になります。
動物の口腔内の腫瘍は概して発見が遅くなるために、見つけたころにはかなり巨大あるいは進行した状態のことがほとんどです。それはまず口の中をよく見せてくれないということに尽きます。そのため口の中をよく観察できるように猫ちゃんを慣らせておく必要があります。どの腫瘍においてもそうですが、先述したように口腔内扁平上皮癌でも早期発見・早期治療で予後が改善することから、猫が小さい頃からのデンタルケアなどで口を触る習慣を身につけておくことが重要です。また少しでも口を気にする素振りを見せたり、悪臭のあるよだれが出ている場合は一度病院へ来られるのをおすすめします。
T.S.
19歳・猫の甲状腺機能亢進症の両側甲状腺摘出
21年01月24日
年末年始の誤食
21年01月20日
年末年始はお家で過ごす時間が多くなるかと思います。
ペットともいつも以上に触れ合う時間が増えると思いますが、
飼い主の気づかないうちに盗み食いをされたという報告が多くあります。
特に縁起物として用意したお餅や鳥や魚の骨を誤食です。
焼いていないお餅もそうですが、焼いてモチモチになったお餅も、ヒトと同様に窒息するリスクがありますので絶対に与えないようにしてください。
鳥や魚の骨は鋭利部分が食道や胃を傷つける可能性があります。
さらに味付けによっては嘔吐や下痢につながるリスクもありますので、せっかくのお祝いムードが一変します。絶対に盗み食いや拾い食いをされないよう気をつけてくださいね。
H.F
欠如歯
21年01月15日
避妊・去勢手術の際に乳歯のお話をさせていただくことがあります。
これは人気のトイ種に多いのですが乳歯遺残といって乳歯と永久歯の交換が正常に行われないことがあるためです。一般的には6か月齢ごろに交換が終わり、それ以上乳歯が残っている場合や乳歯と永久歯が2週間以上併存している場合に抜歯の対象になります。トイ種は歯の交換が6か月齢以降に割り込むこともあります。
乳歯が存在しても永久歯が認められないこともあります。これ欠如歯といいます。欠如歯であるかの判断をするには口腔内レントゲンで永久歯の有無を確認する必要があります。永久歯が確認できない場合には乳歯の形態や生え方に問題なければ温存します。基本的にそのタイミングでは無症状の疾患でこの時の抜歯や温存も将来的な問題の予防が目的ですので確認しなければわかりません。若い時期の健康診断には歯の様子もあわせてみていきましょう。もしかして歯がない、乳歯のままかもと感じられた際にはお気軽にご相談ください。K.Y
呼吸が苦しそう
21年01月10日
自宅のワンちゃんあるいは猫ちゃんの呼吸がおかしい。でももしかしたら違うのかもそんな時にこんなことが見られたら呼吸がしづらい状況がとても重症になっているの可能性があります。
まずは犬座姿勢、伏せあるいは座ったままの状態で横になれない、さらに口を開けて上を向いて呼吸をするような様子です。
次に開口呼吸、その名の通り口を開いて呼吸をしている状態ですが、猫ちゃんの場合は痛みやストレス、神経の疾患で口を開けて呼吸をしてしまうこともあります。
続いてチアノーゼ、これは舌の色が青みを帯びてくる状態のことを言います。呼吸が上手にできずに血液中の酸素濃度が低くなっていき、還元ヘモグロビンが増えてくると血色が青みを帯びてくるためでうす。ただし、この還元ヘモグロビン、量にして1dL中に5g以上ないと青く見えてきません。つまりもともと貧血している子ではどんなに呼吸が苦しくても出てこない場合があるのと、生まれつきの心臓の病気や、メトヘモグロビン血症という病態でも出てきますので、総合的な確認が必要です。
最後に意識混濁です。呼吸は動物の生理的欲求の一番初めのところにあるため、ここが満たされないとそのほかの反応がすごく乏しくなってきます。読反応が悪い反応が悪い、あるいは全然反応してくれないとなると意識レベルが下がってきている証拠ですのですぐにご来院ください。
S.A
発作が起きている?どうしたらいい?
21年01月05日
今回はてんかん発作についてお話します
人でもてんかん発作があるように、犬や猫そのほかの動物にもてんかん発作があります。その発症年齢は数ヶ月齢〜高齢の全ての子達に起こりうる疾患です。初発は、何の前触れもなく急にくるので、おそらくほとんどの飼い主様たちはパニックになってしまうと思います。
今回はこのてんかん発作についてお話しさせていただこうと思います。
まず症状としては、体の一部が自分の意志とは関係なくピクッと動いたり、異常によだれがでたりなどの部分発作と呼ばれるものから、ひっくり返って足をビーンと延ばし硬直するものから、足をバタバタさせるなどの全般性発作があり、この状態では呼びかけても反応がなく、時には失禁したりなども見られます。皆さんがイメージするてんかん発作はおそらく後者の全般性発作であると思います。この時は脳神経細胞が異常興奮している状態なので、ワンワンと大きな声で泣いたりしていて、何かしてあげたいけど、どうしたらいいの?
病院に連れて行った方がいいかもだけど今動かすのはまずいのでは?とパニックになってしまうと思います。
ではこの症状が出てしまった時、おうちではどうすればいいのでしょうか?簡単です。
"症状が治まるまで待つ"です。この時咄嗟に抱きかかえたりしてしまう方が多いですが
できればそのままにしておいて、「何分くらい続いたか」「どのような症状だったか(難しいとは思いますが動画があれば診断はスムーズにいくことがあります)」と詳細に観察をするのがベストです。
てんかん発作は薬によって治療しますが、それにも関わらず発作が起きてしまうことも少なくありません。いつ発作が起きるのかわからない...動物たちだけでなく飼い主の我々も不安でいっぱいになりますよね。
ある研究で、特発性てんかんの治療中の飼い主に発作が起きる前のワンちゃんの行動の変化を聴取したところ「飼い主にしがみつく」「落ち着かずウロウロしている」「何かに怯える」という行動の変化が多く見られたそうです。参考にしてみてください。
続いて症状が治まったら、動物病院を受診し、今後の方針を立てていく事をお勧めします。発作は脳神経が原因であることはもちろん、それ以外(血液検査で評価できます)が原因で起こることもあるのでしっかり調べる必要があります。確定診断までにはM R I検査が必要になります。また、発作の中には5分以上続く「重積発作」という緊急性のあるものが存在します。こう言った長時間続くものは危険ですので、すぐに受診されることをお勧めします。 R.I