最近のブログ
最近のエントリー
- 2024年
- 2023年
- 2022年
- 2021年
- 2020年
- 2019年
- 2018年
- 2017年
- 2016年
- 2015年
- 2014年
- 2013年
- 2012年
- 2011年
- 2010年
- 2009年
- 2008年
プロゲステロンの院内検査
19年07月26日
今回あらたにFUJIFILMから黄体ホルモン検査のテストが出ました。いままではバイダス、パスファースト2社が院内検査ができるものでした。FUJIFILMの犬の参考値をみると特に妊娠中の数値がバイダスとはかなり差があります。排卵の時期はどうなんでしょう?パスファーストのときはちょっと計測値がちがうので使いずらいものでしたが今回のものは如何でしょうか。どちらが正しいというよりいままで評価されてきたバイダスと比べどうなのか興味があります。FUJIFILMのほうが計測時間は短いんだろうなあ。数値が近いと使いやすいのですが。検討してみますね。
S.S
PRP注入療法や幹細胞療法
19年07月25日
PRP注入療法(濃縮自己血小板)は、スポーツ界でも着目されており、「著名な野球選手がPRPでひじの治療を受けられた。」という話を聞いたことがある方もいると思います。PRPの治療は、「血小板」という損傷組織を修復する血液内の成分を濃縮した「血漿」を、患部に注射して「自己治癒」を促進するというものです。
私たちの血液に流れている血小板は、様々な能力を秘めた成分であり、自己治癒力も血小板の持つ能力のひとつですが、最新の研究により、お肌を若返らせる成分も数多く含まれていることが分かってきました。その成分を活かした治療法が「PRP注入療法(濃縮自己血小板)」です。自分の血液を採血し、そこから特殊な装置で血小板のみ採取、濃縮してから皮膚に戻すことで、お肌全体を若返らせます。
また、同様に損傷した脊髄が再生されるといった幹細胞療法も当院では行っており、椎間板ヘルニアの症例における補助的治療法の1つとなっております。
令和となり、より一層医療現場は発展を遂げると思われ、これらの皮膚再建やアンチエイジングを目的としたPRP注入療法や幹細胞療法がより簡便に、より盛んになってくると思われます。
H.F
耳が汚いって言われても・・・
19年07月20日
1年ぶりに病院に健康診断に行ったら「耳が汚れてますねって言われました」
カットをしてもらいに行ったらトリマーさんに「耳がキチャナイねって...」
飼い主さんとお話しているとこんなことを言われることがあります。
特に垂れ耳ワンコの飼い主さんは気にされている方も多いのではないでしょうか。
今回は耳のお話です
①耳が汚いって問題なの?
②どんなことに注意すればいいの?
③そうじはどーするの?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
①耳が汚いって問題なの?
程度にもよりますが、耳の中でひどい炎症が起こっている場合
耳のトンネルの壁が厚くなる→耳のトンネルが狭くなる→通気性が悪くなる→バイ菌がトンネル内で増殖...薬での治療が困難になり手術が必要になるケースもあります。
また、より耳の奥で炎症(中耳炎・内耳炎)がおこると神経を障害し、難聴になる、首をかしげる(捻転斜頸)ひどい場合は平衡感覚を失ってうまく歩けない、顔面神経麻痺などをおこすことがあります。
②どんなことに注意すればいいの?
おもに3つ
・耳の中が赤い
・耳がくさい
・耳をかゆがる
③そうじはどーするの?
まず大前提から!
→正常な耳は自浄作用があるため、耳垢は自然に排出されます。したがって、トラブルのない耳に対しては積極的な洗浄は必要ありません。正常な耳垢を無理にとろうとすると、かえって外耳炎の原因となります。※特に綿棒などで耳の奥の汚れをとろうとすることは絶対さけてください!
次に《掃除方法》です
病院でだされた洗浄液などを耳の中にいれ、耳の根本をやさしくマッサージしてあげます。ほとんどのワンちゃんでは頭をふって入れた液をだしてくれます。その後綿などで軽く耳を拭いてあげるとよいでしょう。耳の奥には喉に通じる管がありますので耳のなかに液が残って取れなくなことはありませんのでご心配なく。このとき、耳の奥の汚れを無理やりとろうとするのはNGです。あくまで、やれる範囲でとってあげるくらいの気持ちが大切です。
しかし、耳が汚れる《原因》には、異物や寄生虫が存在、アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、内分泌系の病気、免疫系の病気、ワンちゃんの種類、体質などが考えられます。原因によってはそうじだけでなく、点耳薬や内服が必要な場合もあります。まずはお気軽にご相談くださいね。
K.G
歯が割れたら その2
19年07月15日
以前歯が割れたらというコラムを書かせていただきました。歯髄が露出するような歯の割れ方をした場合、歯は自然に治ることはなく、歯は重填するか抜歯してあげないと顎骨・頭蓋骨にダメージを負うまで悪化し続けます。
重鎮も抜歯もできる症例と抜歯しかできない症例には違いがあります。まず受傷からどれほど時間がたっているかが重要です。受傷から48時間以内での処置とそれ以降では歯髄保存の成功率に大きな差があります。また成熟した歯か未熟な歯かでも温存の仕方が変わり、割れてしまった部位では抜歯しか選択できない場合があります。
したがって、歯を残してあげることができるか否かはいかに早く連れてきていただくかによります。今度なにかのついでに見てもらおうではなく、なるべく早くお連れください。 K.Y
寝たきりから床ずれへ
19年07月10日
床ずれ(褥瘡)とは身体にかかる圧力により、皮膚と骨のあいだの血流低下や虚血状態が一定期間維持されることにより生じる組織壊死です。寝たきりになると体の一部分に圧力が集中し、その部分に床ずれが発生するということになります。主に高齢犬で寝たきりになってしまった子にみられますが、どのような条件で発生しやすいのでしょうか?チェックしていきましょう。
・体の栄養状態(痩せてきている)
自分で食事をして必要なエネルギーをほとんど賄えている子は、寝たきりでもあまり床ずれが発生しません。やはり自身の脂肪組織や筋肉組織があることでクッションの代わりになってくれますが、痩せてくるとそれらの機能が失われ、また脱水状態がすすみ皮膚が固くなり血流が阻害されることで発生リスクが上昇します。また骨が浮いてくるとその部分に体圧が集中してしまいます。
・足腰が不自由
足や腰、頭部を自由に動かせない状態の動物は、やはり体圧が一点に集中してしまうためにリスクが高くなります。
・固まった関節
関節拘縮があると体圧の集中が起こりやすくなります。
床ずれは治療よりも予防が大事です。床ずれは血流障害から生じますので、治るのに必要な成分を運んでくれる血液がありませんのでかなり治りにくい病態となっており、床ずれにならないような工夫が必要となります。上のチェックリストに当てはまった場合は、以下のポイントに気をつけて管理していかないといけません。
・適切なマットの上に、適切なポジションで寝てもらう
寝たきりになってしまった子の管理に、薄いタオルや毛布1枚を下に敷いてあげる程度ではいけません。体圧を分散でき、通気性がよく、また自力で立ち上がりやすいものを敷いてあげる必要があります。近年では動物も高齢化なため、各社から床ずれ防止マットのような製品があり、信頼できるものも多くなっています。そして介護者(ご家族)の負担を軽くしてくれるようなお手入れのしやすさも考慮されているためおススメです。またマットへの接触面をできるだけ大きくすることで体圧を分散させるため、基本は横臥姿勢(横向き)が良いとされています。
・栄養管理
上のチェック項目にもありましたが、適切な栄養管理は重要です。もちろん食欲もおちてきている子が多いのですが、できるだけ栄養を取らせてあげてください。また脱水も床ずれの大敵なため、必要ならば床ずれの管理だけでなく一般状態の改善も含めた点滴治療なども必要になると考えられます。
・体位変換
体位変換については未だに統一見解はないものの、よくいわれる2時間に1回の体位変換には科学的な根拠はありません。しかし体位を変えることは、床ずれ発生のメカニズムから考えると必要なことと考えられます。しかし動物は自分の気に入らない体位だと夜泣きが増加したり落ち着かなくなる子も多いために、きっちりとした定期的な体位変換は動物やご家族のQOLを下げかねないため、すすんでは推奨されないかもしれません。その場合はたまに抱っこしてあげることで、体圧を一時的にリリースしてあげることができます。
T.S.
"にゃんぱく宣言" 聞きましたか?
19年07月09日
さだまさしさん作曲"にゃんぱく宣言" ACジャパンのTVCMや新聞広告を耳にした、目にした方も多いのではないでしょうか。
お前、俺の飼い主ならば 俺の体、俺より管理しろ
(中略)
忘れてくれるな
俺の頼れる飼い主は
生涯お前ただ一人
くすっとしつつも、ハッと考えさせられる歌詞ですね。
猫ちゃんはわんちゃんと比べると、本当に病気を隠す生き物だと知られています。
体調が悪いと教えてくれない猫ちゃんの健康のパロメータとして、まずは食欲や飲水量,
体重ですね。
自宅ではヒトと一緒に測って、ヒトの体重を差し引いて体重を確認できますが、体重測定だけでも病院に来てもらっても構いませんので、どんどん記録していきましょう。
他に、元気に見える猫ちゃんでも、1年に1回は病院での健康診断をおすすめしていますが
特に7歳を超えてきた猫ちゃんについては腎臓病や甲状腺機能亢進症に罹る子が多くなってくるため、尿検査や甲状腺ホルモンを含めた血液検査をおすすめしています。
尿検査用のスポイトもお渡しできますし、綺麗な容器であれば何に採尿してもらっても構いません。
尿の取り方がわからないときはぜひご相談ください。
猫ちゃんの体、猫ちゃんより管理するお手伝いをぜひさせていただけたら、と考えております。
M.K
猫の甲状腺機能亢進症の治療で内科療法の副作用でお困りの方へ。
19年07月07日
6月も甲状腺機能亢進症の手術が続いています。幸いにいままで手術をおこなって異常をきたした猫ちゃんはおりません。最近甲状腺機能亢進症と診断され抗甲状腺薬を処方してもらったのだけど副作用がひどくて投薬を断念しているというご相談が多くあります。副作用としては嘔吐、食欲不振、顔面、頸部自傷性剥離が代表的なものです。今月も副作用で大変になった猫ちゃんたちが、y/dへの食事変更、少量投薬、回数変更等によるコントロールから甲状腺値をできるだけさげたあと手術行い内服薬を飲まない生活を送れるようになっています。いやがる猫を捕まえて毎日薬を与え続けペットとの信頼関係をなくすくらいならなにも治療をしないという飼い主さんもご相談ください。いやがるうちの猫をつかまえて内服させることがありますが、やっぱりいやですよね。
写真は先日行った18歳の猫の甲状腺と上皮正体です。手術は高齢の猫が多く症例の平均年齢は16歳くらいです。20歳をこえて手術する猫ちゃんも多くいますよ。
2019年 春季合同外科学会 参加報告
19年07月01日
2019年6月15-16日
今年も埼玉県の大宮ソニックシティで獣医循環器学会、画像診断学会、内視鏡外科研究会の3つの学会による合同学会が開かれました。今回の参加人数は過去最多となり、それぞれの分野に特化した獣医師による様々な興味深い講演を聴くことができました。
特に循環器学会におきましては今年の4月にアメリカ獣医内科学学会(ACVIM)により新たな分類方法が提唱され話題になりました。
それは僧帽弁閉鎖不全症の症例における内科的治療以外に外科的手術適応に至るまでの新たなガイドラインであり、僧帽弁閉鎖不全症の分類に関してステージA~D、さらにBにおいてはB1、B2と分類されるまでは今までと同じですが、B2のおける治療法、並びに診断基準の追加が提唱され、今後アップデートされる予定です。
これらの報告がなされ次第、今後の治療方針に役立たせていきたいと思います。
H.F
大会初日後の恒例の情報交換会の様子