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網膜異形成
16年01月31日
網膜異形成は視神経のうち光受容体細胞を含んだ数層が胎生期あるいは生後の網膜発育過程で異常な分化をした結果、皺状、あるいはロゼット状になる疾患です。
原因は遺伝性と母体の子宮内における様々な異常、例えば猫汎白血球減少症・犬パルボウイルス感染症・ヘルペスウイルス感染症の感染や、ビタミンA欠乏症などが挙げられます。
症状としては片側あるいは両側に認められ、軽度のものでは無症状を示しますが、重度の地図上網膜異形成や網膜部分剥離を伴う場合は視覚異常を認めることがあります。また、汎網膜異形成は網膜剥離を起こすため、罹患眼は失明を示します。
S.A
日産の猫バンバンプロジェクト
16年01月27日
http://www.nissan.co.jp/SOCIAL/CAMP/NEKOBANBAN/
冬になると寒さを凌ぐために猫がエンジンルームやタイヤの隙間に入っていることがあります。もし知らずにエンジンを始動したために猫が犠牲になってしまう事故が多発しています。そのような悲劇を少しでも減らそうと日産では乗車前には必ず猫がいないかを確認し気配を感じたらエンジンルームを確認するように呼び掛けています。乗車の前にボンネットをバンバンしましょう。自分が加害者になったらと思うとぞっとしますね。少しの余裕と猫ちゃんにも優しさを!
特設サイトは上のとおりです。S.S
猫のうんちは人間用のトイレに捨ててはダメ
16年01月26日
膀胱の後屈を伴った会陰ヘルニア
16年01月24日
上の写真は9歳のチワワ(未去勢犬)に発生した会陰ヘルニアの写真です。以前のコラムでも紹介しましたが、会陰ヘルニアは中年齢以後の未去勢雄犬に比較的多く見られる疾病で、骨盤隔膜の筋肉と筋膜が脆弱化し、分離することにより骨盤腔内の脂肪組織や直腸といった臓器が骨盤の尾側外方に移動し、または会陰部直腸の拡張や逸脱、変位が起きている状態です。今回の症例では、下の写真のように、膀胱の後屈を伴っておりました。会陰ヘルニア症例の20%近くで膀胱の後屈が認められたという報告もあり、そのような症例では排尿障害や尿失禁、無尿を起こして全身状態に重大な危機を及ぼす可能性がありますので、去勢手術をされていないワンちゃんの飼い主様でお尻周りの腫脹にお気づきの際はぜひお早めにご相談ください。
H.B.
ヒト再生医療に保険適応
16年01月20日
心臓病の治療に用いる「ハートシート」が11月に公的医療保険に適応することとなりました。重い心不全を持っている患者さんの足の筋肉から採取した細胞を培養しシート状にしたものを患者さんの心臓に貼り付けることにより心筋の回復を促し再生を促進することができます。さらに造血幹細胞移植をうけた後などにみられる合併症に対する健康な人の骨髄から採取し培養した間葉系幹細胞で作った薬「テムセルHS」も認可をうけました。
再生医療はどんどん進んできている実感があります。動物においてもいろいろな分野で使われ始めています。IPS細胞による再生医療にも注目していきたいと思います。新しい医療に期待を持って取り組んでいきたいと思います。S.S
猫の末端肥大症
16年01月17日
猫の末端肥大症(高ソマトトロピン症)は、下垂体前葉に生じた成長ホルモン産生腫瘍が原因になることが最も一般的です。以前は稀な疾患であると考えられていました。しかし、現在まで診断されていなかったためによるものか、疾患として増えてきたかは明らかではありませんが、最近の研究によれば高ソマトトロピン血症は糖尿病の猫の約25%に存在すると推定されています。
症状としては、多飲、多尿、多食、体重増加、跛行、神経症状、蹠行姿勢、趾の腫大、幅広い顔面、歯間腔の拡大、顎前突などが挙げられます。多くの症状は併発する糖尿病に関連するものですが、身体的な変化は末端肥大症の特徴的な変化であると言えます。しかし、こういった身体的な変化はゆっくりと起こるため、普段一緒に過ごされている飼い主様には分かりづらいことが多いです。また、通常血糖値の管理が困難な糖尿病患者には、体重減少が起こりますが、末端肥大症に起因する糖尿病の場合、血糖値の管理が不十分でも体重の増加が認められるという点で、通常の糖尿病との鑑別が可能です。しかし、稀ではありますが、糖尿病でない末端肥大症の報告例も存在し、また特徴的な身体所見の変化をほとんど認めない末端肥大症も存在するなど、診断が困難な場合もあります。
現在のところ、末端肥大症を確定診断するためのゴールド・スタンダードとなる検査法は存在しません。そのため、ほとんどの症例において、臨床徴候、IGF-1濃度の測定、画像診断を組み合わせて診断を行っていきます。
治療には、 放射線療法、下垂体切除術、内科療法などが行われます。放射線療法に対する反応は様々で、成功症例では血糖値のコントロールの改善あるいは糖尿病の寛解が得られることもありますが、反応に乏しく、効果が持続しない場合もあります。下垂体切除術はヒト医療においては第一選択となり、猫においても報告例が存在しますが、極めて少数で、また生涯に渡るホルモンの補充が必要となります。内科療法は理論的には有効であると考えられますが、現在のところ獣医文献での報告は少なく、少数の症例報告に限られるため更なる研究が必要であると考えられています。
犬の甲状腺摘出手術です。
16年01月17日
犬の甲状腺腫瘍の手術を行いました。甲状腺腫瘍はかなり大きくなってから連れてこられることが多くなかなかご家族の方にとっては見つけにくいようです。腫瘍はほとんどが癌で濾胞腺癌が多くを占めています。甲状腺腫瘍は悪性度が高く転移することが多いですが、進行がゆっくりのため手術することによりよい予後が得られることが多いです。今回はビーグル犬でした。甲状腺機能低下症によって癌の発生が促されることが証明されている犬種でもあり最も多発犬種といわれています。他の犬種ではレトリバー種、シェルティーなどの発生が多くあります。性差はありません。どの犬種にも発生します。とくに好発犬種は高齢になれば1ヵ月に1度は首を触ってみてください。ビーグル犬は甲状腺機能低下症を早く見つけるためにも1年に1度は血液検査をお勧めいたします。当院においては犬の甲状腺腫瘍、猫の甲状腺機能亢進症の手術症例がおおくあります。早期発見を心掛けてください。
s.s
爪先にご注意を!
16年01月11日
爪は皮膚の分化器官で、真皮から連続して末節骨を覆う基本構造からなります。爪の疾患は爪や爪ひだ、あるいはその両方を侵し、感染症や免疫介在性、腫瘍性の病因によって発生します。
症状は腫脹や紅斑、痂皮、跛行、疼痛、爪ひだからの滲出を伴うことが多いです。
①爪の感染症
鈍性の外傷や深爪による爪甲の外傷部位から細菌が侵入して発症することが多いです。これは1本の爪周囲で起きることが多いです。複数の爪床の感染症は、免疫抑制を起こす基礎疾患がある場合に生じます。犬では内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症)、猫ではウイルス感染症(猫エイズ、白血病)に関連して起こることがあります。爪の細菌感染症に対する治療法として、疼痛、紅斑、滲出物が見られなくなるまで全身性抗生物質を使用します。
②落葉状天疱瘡
猫の対称性爪周囲炎のもっとも一般的な原因です。臨床症状として、顔面や耳介の落屑と重度の乾酪様(チーズ様)爪周囲炎が見られます。1本または複数の趾が侵され、疼痛を伴うことがあります。全身性の体調不良を示すこともあります。大部分は特発性ですが、薬疹によっておこることもあります。
診断は痂皮病変部や爪ひだからの滲出物のサンプル細胞診検査で、非変性性好中球や棘融解ケラチノサイトの検出などで行います。
治療法は免疫抑制療法でプレドニゾロンやクロラムブシるなどを用い、寛解が得られたら用量を漸減していきます。
③犬のエリテマトーデス性爪栄養障害
犬の対称性爪疾患の最も一般的な原因です。この疾患で見られる爪床の境界型皮膚炎は細菌の二次感染を伴うことが多いです。臨床症状として、爪の脱落がみられ、一本の趾の病変として始まることが多いが、通常急速に進行してほかの爪も侵されます。跛行や疼痛が見られます。罹患した爪は再生しますが、しばしば変形し、柔らかくてもろいです。
診断は臨床症状および、抗生物質療法に全く反応しないこと、生検による境界型皮膚炎の確認によって行います。
治療法は必須脂肪酸やオキシテトラサイクリン、ナイアシンアミドの併用療法が挙げられますが、難治症例ではグルココルチコイドによる免疫抑制療法が必要とされます。
④腫瘍
犬;高齢の大型犬種(ゴールデン・レトリーバー、スタンダード・プードルなど)で多く、扁平上皮癌、悪性黒色腫が非常に多いです。臨床症状として、罹患末節骨部の腫脹と疼痛、爪の脱落が見られます。局所への波及や遠隔部への転移が起こることがあります。有効な診断法は細胞診、生検です。レントゲン検査で末節骨の破壊像が確認されることもあります。また、転移の有無を調べることも重要です。
治療には罹患趾の完全切除が必要ですが、転移がある場合は予後不良です。
猫;肺の無症候性の気管支原発性癌や扁平上皮癌の転移性疾患が一般的です。多数の趾が侵されることが多く、潰瘍や趾節骨の破壊を伴います。有効な治療法はありません。
爪の病気といえども侮れないものもあります。ぜひ皆様の大切な動物には爪の先からチェックしてください。
M.M.
麦粒腫
16年01月03日
麦粒腫とはいわゆる「ものもらい」とか「めばちこ」と呼ばれる、眼瞼の縁に存在する腺の細菌感染症のことをいいます。人のものと同様、眼瞼が腫脹することで気がつきます。
原因はモル腺やツァイス腺などの腺に、ぶどう球菌などが感染することで、眼瞼の浮腫、紅斑、痒みなどを引き起こします。眼瞼を反転させると黄白色の膿瘍が観察できることで診断できます。若齢の犬に多く発生しますが、慢性化や再発することも多いため注意が必要です。程度により抗生物質を点眼、または全身投与を行ったり、場合によっては薬剤感受性試験に基づいた治療が必要になります。治療は長期間必要で、最低でも3週間、重症ならば2ヵ月ほど行うこともあります。また腫れがひどく局所的な場合は切開を行って排膿することもあります。わんちゃんは眼を気にするとこすって、二次的に眼に傷をつくることも少なくありません。眼を気にしているわんちゃんがいましたらご相談ください。
T.S.