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Euthyroid sick syndrome
15年06月28日
様々な全身性疾患や、薬物の投薬によって、甲状腺機能が低下している状態を偽甲状腺機能低下症(Euthyroid sick syndrome)といいます。甲状腺ホルモンの低下だけではなく、末梢でのT4代謝なども低下するため、甲状腺機能低下症と非常に類似した症状を示します。真の甲状腺機能低下症との鑑別が困難であるため、慎重に診断を行う必要があり、fT4の測定やTSHの測定は併発疾患の影響を受けにくいため、鑑別診断に有用とされています。
病因は、基礎疾患がある際に甲状腺ホルモンの分泌を減らし代謝を落として体を休ませるという生理的な反応によるものと考えられています。
通常、この疾病に対しては甲状腺ホルモンの補充を行う必要がなく、基礎疾患の治療や薬物に投与中止により改善されることが多いとされています。また、この疾病に対し甲状腺ホルモンの補充を行うことは有害となることが多いので気を付けなければなりません。
D.T
食道炎
15年06月21日
食道炎は嘔吐や食欲不振の原因の1つでその頻度は比較的多いとされていますが、診断されることの少ない疾患です。というのも重症度によって症状が大きく違ってくることとレントゲン検査での診断が困難なことにあります。原因としては、異物や熱すぎる食事のほか、他の疾患による頻繁な嘔吐によって胃酸が食道へダメージを与えたり、猫ちゃんではドキシサイクリンのようなお薬によっても起こってきます。
症状は軽度のものではよだれが出たり、軽い食欲不振や発咳が見られ、重度では吐出、嚥下痛とそれによる食欲の廃絶が見られることもあります。
確定診断には内視鏡が必要となり、治療は原因がある場合は原因の除去が基本ですが、そのほか薬によって食道炎を増悪させる胃酸分泌を抑えてあげたり、食道の粘膜保護をしてあげます。また、重度の倍は食道を休ませてあげるために胃造廔チューブの設置が必要な場合もあります。
リンパ球・形質細胞性腸炎
15年06月14日
リンパ球・形質細胞性腸炎は犬・猫の炎症性腸疾患(IBD)のもっとも頻繁に認められるパターンのひとつです。IBDは腸粘膜におけるリンパ球や形質細胞、好酸球、マクロファージ、好中球といった様々な炎症細胞のびまん性浸潤を特徴とした慢性腸疾患であり、リンパ球・形質細胞性腸炎のほかに好酸球性腸炎、肉芽腫性腸炎、慢性組織球性潰瘍性大腸炎などがあげられます。発生原因について明確な解明はいまだなされていませんが、ひとつは腸粘膜における免疫反応の暴走、もうひとつは特定の細菌や食物などの抗原に対する腸粘膜免疫系の正常反応の亢進という二つの要因が推測されます。
症状は慢性の下痢が主体であり、ほかに体重減少、嘔吐、腹水貯留を呈するものもあります。血液検査で低蛋白血症がみられることが非常に多いのですが、当疾患の診断には他の低蛋白血症をおこす疾患の除外が必要不可欠で、内視鏡による腸粘膜の組織検査によって最終的に診断されます。すなわち除外診断の過程で、腎機能・肝機能、心機能や腸内リンパ節の形態などの評価のために尿検査やⅩ線検査、超音波検査などの検査が必要となる場合があります。
H.B.
犬の皮膚感染症
15年06月07日
普段の診察で多い病気の一つに、皮膚病があります。犬で、皮膚が赤くなり、痒みが出ているということで来院されることが多いです。 様々な理由で皮膚は、痒くなったり、赤くなったりしますが、原因の一つである感染症には、球菌、マラセチアといわれる酵母菌、ニキビダニ、疥癬、真菌があります。これらの感染症はそれぞれ特徴的な赤みや、脱毛、痂皮などを形成します。同じ感染症でも、全く違うものなので、治療は異なります。 例えば細菌感染の場合は抗生物質を使い、真菌には、もちろん抗真菌薬を使います。他に補助的にシャンプーや、消毒薬塗布を組み合わせていく場合があります。 細菌に対して、抗生物質も、効果がある場合がほとんどですが、中には耐性菌である場合があり、その場合は効果のある抗生物質を調べていかないといけないことがあり、治療が長期になる場合があります。
細菌や、マラセチア、ニキビダニ症は、環境要因(気温、湿度)や、部位(脇や、股といった部位)、イヌ側に問題がある(感染症を起こしやすい)といった複合的な要因で生じます。特にニキビダニ症は、幼少期や老齢期に多いです。
皮膚病の多くは、皮膚に限局し、犬が調子を崩すといったことはないのですが、赤みが生じ痒みが出ているとやはり不快症状を示し、掻く、舐めるといったことを繰り返します。
夜中でも、掻いている、皮膚が赤いなどの症状が出て、不快な症状が出ている場合はぜひご相談下さい。
M.N