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最近のエントリー

ソナゾイド造影超音波検査

11年08月23日

肝臓に結節性病変が認められた際、それが良性の病変であるのか、悪性の病変であるのか、従来の超音波検査法で判断することは非常に困難です。その為、CTまたはMRI検査を行なったり、肝臓組織検査を行なって、その良悪を判断する必要があります。
2007年1月に超音波造影剤であるソナゾイドが発売され、その後、医学領域では、それまで画像診断では最も高い精度をもつ造影CT検査にも匹敵する画像診断検査法として活用されはじめています。
近年、獣医学領域においても造影超音波検査に関する報告がされるようになってきました。
ソナゾイドは投与されると血管内を還流し、肝臓や脾臓実質に存在する細網内皮系細胞(クッパー細胞など)に取り込まれることによって、造影効果をもたらします。この特徴は正常な実質構造をもった部位に限って認められるため、特に肝臓の結節性病変の鑑別に有効であると報告されています。
また、獣医学領域ではCTやMRIを撮影する際どうしても麻酔が必要となりますが、ソナゾイド造影超音波検査では、多くの子は麻酔を必要としません。
近い将来、ソナゾイド造影超音波検査が肝臓および脾臓腫瘤に対する画像診断検査としてきわめて大きな役割を担うようになると期待しています。

犬の特発性てんかん

11年08月09日

 特発性てんかんは犬において最も多く見られる発作の原因です。特発性とはすなわち原因不明のことで、神経学的検査や血液検査などに各種検査、またMRI検査でも異常が見当たらないものがこれに分類されます。たとえば肝臓疾患であるとか低血糖など、原因が特定できるものは症候性てんかんと言います。猫では特発性てんかんは少ないと考えられています。
 特発性てんかんの特徴は初発年齢が1~5歳(ふつう6ヶ月~3歳)と若いことです。より若齢では脳などの奇形、より高齢では脳腫瘍などの可能性が高くなりますが、特発性の可能性もあります。
 診断では血液検査やレントゲン検査などで症候性てんかんの原因となるものを除外します。神経学的検査も正常です。診断に際し重要なのは、発作の頻度、持続時間です。発作が起こると脳の損傷が起こります。群発あるいは重積発作を繰り返しているものでは脳損傷が進行してしまうため、抗てんかん薬による治療がすすめられます。たった一回の発作だけでは治療はすすめられません。
 フェノバルビタールや臭化カリウムなどの従来の薬だけでなく、新しい抗てんかん薬ゾニサミドも治療の選択肢に加えられるようになりました。これは前者2つよりも安全性が高く、使用しやすいものです。抗てんかん薬の治療が開始した場合は、薬の血中濃度をモニタリングする必要があります。薬に反応する場合の予後は良好です。

眼が赤くなっていたら。

11年08月03日

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皆さんは犬の眼を見て赤くなっていたらどのような病気を考えられますか。
結膜炎かもしれないのですこし様子をみてみようと考える飼い主さんが多いかなと思います。病気を軽く考えて、手遅れになってしまうケースも多々あります。
眼が赤くなっていたら角膜潰瘍・前ぶどう膜炎・強膜炎・緑内障・結膜炎などがあり結膜炎以外の重大な病気のこともあります。
角膜潰瘍:眼の大きな犬種のシーズーやパグ、フレンチブルドックなどは注意。
シャンプーの後に眼を痛がっていれば疑ってください。
前ぶどう膜炎:痛みを伴うことが多く、瞳孔の大きさに変化があったり、眼をこすったりすることがあります。
強膜炎:痛がっていないのだけど眼が赤いというケースが多いと思われます。気にしていないからと放置しておくと失明にいたってしまう場合もあります。
緑内障:眼圧が上がってしまい失明してしまう病気です。早期発見が失明させない唯一の方法です。片側見えなくなっていても飼い主さんが気づくことはめったにないため発見がおくれてしまう原因になっています。
結膜炎:眼が赤くなっていて、結膜炎である確率はひくいのが普通です。涙液がすくなくなることによりおこる結膜炎、他の病気にともなった結膜炎、アレルギー性の結膜炎などいろいろです。
明らかに眼が赤ければ重度な異状であるばあいがおおいので早期の診察をおすすめいたします