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犬のアトピー性皮膚炎と食物アレルギー、どう違う?

22年11月03日

犬のアトピー性皮膚炎(CAD)食物アレルギーは皮疹の分布パターンが似通っており(左右対称性、眼や口の周囲、耳介内側、前肢の屈曲部、腋窩、腹部、鼠径部、会陰部、肢端)、一見混同されがちです。両者の違いを端的にいえば食餌を除去食に変更すれば治るのが食物アレルギーであり、食餌変更だけでは治らないのがアトピー性皮膚炎です。CADは多因子疾患であるため、根治させることは多くの場合困難であり、生涯にわたって症状を抑制するための治療(投薬や食餌療法、環境の清浄化など)が必要です。治る病気なのか、それともずっと治療を続けなければならない病気なのか判定すること、ここにCADと食物アレルギーを鑑別する意義があります。ところが、搔痒の原因が純粋な食物アレルギーによるケースは非常に少ないとされています。実際にはCADと食物アレルギーの併発(食物抗原が原因のひとつとなっているCAD)が多いようです。食物アレルギーとの合併を疑うポイントは消化器症状の有無です。嘔吐や下痢といった明らかに認識しやすいものだけでなく、軟便(程度に幅あり)や排便回数の多さ、嘔気(いわゆる「げっぷ」)も消化器症状といえます。とくにこうした症状が幼いころからずっと続いている場合はその個体の体質(その個体における正常)だと捉えてしまいがちです。CADと食物アレルギーの併発は一見厄介ですが、逆にいえば、CADであっても除去食への変更によって症状の改善が期待できるともいえますまた、食物アレルギー単一疾患であることは少ないとはいえ、食餌変更だけで治るのであれば決して見逃したくない病気です。

 両者を区別する唯一の方法は除去食試験および負荷試験です。除去食試験と負荷試験は2つで1つとして捉え、必ず両方行う必要があります。簡単にいうと、除去食試験では「何を食べてもいいのか」を見つけ、負荷試験では「何を食べてはいけないのか」を見つます。食物アレルギーにしてもCADとの併発にしても、食餌療法のゴールとなるのはその患者に適した食餌を見つけることです。従来の除去食試験・負荷試験は患者の食歴とアレルギー検査(抗原特異的IgE検査やリンパ球反応試験など)の結果を参考に食餌内容を決めることから始まります。1つの除去食の反応を見るのに2か月かかるため非常に忍耐の必要な試験ですが、最近では新しい皮膚疾患用療法食の誕生によってより便利になっているようです。

 ヒルズから新しく発売されたオールスキンバリアは卵を主蛋白源とした今までにないフードです。犬の食物アレルギーおよび食物抗原が関与するCADにおいて卵がアレルゲンとなる確率はわずか4%であるとされ、除去食試験・負荷試験に最適といわれています。食物アレルギー対策、皮膚バリア機能の向上と炎症の抑制を3本の柱としており、CADと食物アレルギーの併発症例において良好な反応を示したという報告がいくつも上がっているようですぜひご興味があればご相談ください R.S コラムの図 22.11.JPG