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犬の肺の腫瘍
21年04月20日
今回は犬の肺腫瘍に関してです。肺腫瘍は腫瘍全体の1%、100,000頭につき4.2頭の発生といわれています。犬では腺癌が最も多く、そのほかに扁平上皮癌、腺扁平上皮癌、悪性組織球性肉腫、線維肉腫、リンパ腫などが発生します。8〜14歳で多いとされ、腺癌は左後葉、悪性組織球性肉腫は右葉で特に中葉・左前葉に発生しやすいとされています。進行や予後は悪性度や診断時の転移の有無に関与していて、その他、ステージング、腫瘤の大きさ・位置などによって決まることが報告されています。犬においては腫瘍随伴症候群として特徴的な肥大性骨症が知られています。主な症状は咳、活動性の低下、食欲低下、呼吸困難などが認められますが、無症状で健康診断で偶発的に発見されることも多いです。呼吸器徴候としては咳が多く、腫瘤が気管支を圧迫する大きさの場合に生じます。X線検査では孤立性、粟粒性、肺葉硬化性の腫瘤が認められ、空洞化、石灰化などの所見を伴うことがあります。診断時の胸水貯留は少なく、リンパ節腫大を伴うことがあります。CT検査によってX線検査では検出できない大きさの肺葉間転移やリンパ節評価を行うことができます。CT検査においてリンパ節が腫大していると評価される場合、ほとんどの場合は病理組織学的な評価によっても転移が得られたという報告があります。当院では外科的な切除だけでなく内服によるメトロノミック療法も行っておりますのでご相談いただければと思います。
K.G