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若齢大型犬の跛行
20年10月20日
今回はワンちゃんの跛行に関するお話です。
『跛行』とは何らかの障害により、ケンケンするなど正常な歩行ができないことを指します。跛行の原因となる疾患は様々ですが、犬種や年齢によってある程度絞ることができます。
例えば汎骨炎と呼ばれる疾患があります。汎骨炎は体重増加に伴う原因不明の跛行で5-14ヶ月齢に見られます。この疾患は一般的に触診とレントゲンにより診断します。きっかけがなく足や腕を痛がったり、痛がる足が変わったり、発熱、食欲不振など症状が出る場合もあります。レントゲン上では骨髄のなかの血管周囲が白くなる特徴があります。場合によっては血液検査で白血球の中の好酸球の増多を伴うことがあります。多くの場合、発育とともに自然治癒します。
次に紹介するのは離断性骨軟骨炎です。これは肩や膝、足の関節で起こるもので発育期(4-8ヶ月齢)に見られます。異常な速さで発育する軟骨が硬い骨になる際に異常がでる病気で関節の一部が欠損してしまい、一部は骨片として残ります。痛みの程度は強く、足を上げる跛行を示すことがあります。程度によりますが、骨片を取り除く手術が適応になる場合があります。
また、成長期のワンちゃんで考えなければならない病気が栄養素の不足が原因になるものです。肥大性骨異栄養症は全身性の病態で、特に長い骨の骨幹端で異常がみられます。通常、病変は両側性におこります。原因は不明とされていますが、関連因子としてウイルスなどの感染、食事性のCa(カルシウム)とP(リン)の不均衡やビタミンC欠乏などの不適切な栄養管理が考えられています。グレートデンなどの大型犬の急速な成長期にみられ、発生の平均年齢は3-5ヶ月齢です。症状としては、一時的な跛行、運動をしたがらない、歩行時の疼痛、発熱などがあります。
今回あげたものは若いワンちゃんが跛行を示すものの中でも、ほんの一部の疾患に過ぎませんが、どの病気もレントゲンをとることで特徴的な所見がえられ、診断に繋がります。また、跛行の原因は骨や関節の病気だけでなく、爪やトゲが刺さっていたり、皮膚炎なども原因になります。少しでも歩き方がおかしいと感じた場合は一度病院に来てくださいね。
K.G
内服薬の副作用がでた甲状腺機能亢進症の猫ちゃんの手術
20年10月20日
今回の猫ちゃんは13歳10ヵ月の避妊済みのメス猫ちゃんです。副作用のため血液の白血球がすくなくなり抗甲状腺薬(飲み薬)も使えなくなりました。白血球が少なくなると人間では発熱、全身倦怠感、咽頭痛などが起きると言われています。免疫がおさえられることによる弊害が起きてくるようです。内服量を少なくしましたが残念ながらダメでした。いつもは甲状腺の値を十分抑えたのち手術をするのですが、すこし高い値のまま思い切って手術を行うこととしました。CT検査では左側だけの肥大で悪性の疑いも低く、右側は小さめで、異所性甲状腺も認めず左側甲状腺摘出手術を行いました。上皮小体の温存状態も良好だと思われます。1週間後の検査ではT4は若干低めでありますが良好でまったく治療の必要がなくなりました。反対側の甲状腺が機能亢進症を起こす可能性は残されているものの現段階では内服や検査から解放され高血圧慢性腎不全の進行も抑えることができました。内服薬の副作用のおきる猫ちゃんではそのまま様子を見ておられる方も多いようですが多くの猫ちゃんが短命で終わります。思い切って手術することをお勧めいたします。S.S