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高齢犬の夜鳴き
18年02月04日
犬や猫において、加齢に伴う脳機能の低下による認知機能の低下を含む種々の行動変化が起こる状態を、認知機能不全症候群と呼びます。その認知機能症候群の代表的な臨床兆候のうちの2つ、「睡眠-覚醒サイクルの変化」と「活動性の変化」が重なって夜鳴きが起こると、どうしても、いっしょに暮らす家族の生活に問題が生じてしまいます。
認知機能不全症候群が進行したために夜鳴きを行う動物がいる一方で、認知機能の低下が目立たない高齢動物でも夜鳴きが生じることがあります。その際の夜鳴きは、生理的な欲求(排泄・体位変化・疼痛)や不安を訴えるための吠えがもととなり、家族がそれに応えることで吠える行動が強化されていることが多いそうです。無目的ではない学習された発生としての夜鳴きであったときに、特に夜間に見られる原因には、加齢に伴う睡眠-覚醒リズムの変化が影響している可能性も十分あります。しかし、日中では吠えても家族が不在、もしくは夜間に比べて気にならずに吠えにずに吠えに応えることが少ないことが影響して、特に夜間の吠えが強化しているという可能性もあるでしょう。
そのような夜鳴きに対してとられる行動学的なアプローチには、犬では日中散歩に行って運動と刺激を受けること、猫ではひなたぼっこをすることが挙げられます。また、夜間の訴えの軽減としては、それぞれの訴えに対して具体的に応じることが必要になってきます。就寝前に排泄を促すこと、寝床を心地良くすること、痛みに対しては適切な鎮痛剤の内服が必要となってくるかもしれません。
行動学的なアプローチだけでは改善が見られない場合には夜間の睡眠を促すために薬物の投与を選択することもあります。 認知の分野は未だ発生機序の未解明な部分も多いですが、動物たちと最期までいっしょに暮らしていくことに関わる大切な分野ですね。
K.M