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肝皮膚症候群
16年07月31日
肝皮膚症候群(表在性壊死性皮膚炎)とは肝臓の疾患に随伴して起こる皮膚病を指します。
原因としては肝臓で合成されるアミノ酸が著しく減少することによって皮膚の栄養失調が起こるためと考えられており、特に四肢端のような血液供給の少ないところでよく見られます。組織学的な所見は亜鉛反応性皮膚炎と似通っているため、亜鉛欠乏症も関与していると考えられています。また、表在性壊死性皮膚炎を発症した犬は25%が糖尿病を発症している報告がありますが、この原因についてはまだはっきりとはわかっていません。
症状としては典型的には紅斑、痂疲、罹患した肢のパッドや鼻、眼窩周囲、肛門周囲、外陰部に角化亢進が認められます。
確定診断は皮膚生検で特徴的な所見が得られます。治療は基礎疾患の治療が必要となりますが、基礎疾患が特定できない場合にはアミノ酸/タンパク質の補給によって少数ではありますが、改善が得られた報告があります。
S.A
犬の脂質代謝異常症(高脂血症)
16年07月24日
犬の脂質代謝異常症は血液中の脂質の異常濃度(中性脂肪、コレステロール、またはその両方)を指し、一次疾患または他の疾患に続発するものに分けられます。
一次的な脂質代謝異常はあまり一般的ではありませんが、通常特定の品種に関連しています。ミニチュア・シュナウザーの高VLDL-中性脂肪血症とシェットランド・シープドッグの高LDL-コレステロール血症は、最も一般的なタイプであり、遺伝的な素因が関わっていると考えられています。
二次的な脂質代謝異常は、糖尿病、甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症などの内分泌疾患の結果であることが多々あります。これら内分泌疾患以外に、膵炎、胆汁鬱滞、タンパク漏出性腸症、肥満、高脂肪食の採食などによっても起こります。
犬の脂質代謝異常の合併症としては膵炎、肝疾患、アテローム性動脈硬化症、眼疾患、および全般性発作などが含まれます。
また、動物の血中リポタンパク質分画の解析(LipoTEST;(株)スカイライト・バイオティック)を実施することで、その解析結果は原疾患の特定や治療法の検討における重要な情報をもたらします。
これら脂質代謝異常症例では、原疾患の治療に加え、低脂肪食への変更が勧められますが、オメガ3脂肪酸、フィブラート、およびプラバスタチンなどの脂質代謝改善薬の投与が有用です。
わんちゃんの血液健康診断などで中性脂肪やコレステロールの項目に高値が認められた場合、肥満傾向にあるのかなとだけ思われる方も少なくありません。ぜひ一度動物病院までご相談ください。
H.B.
PDA(動脈管開存)の手術
16年07月23日
口鼻瘻管
16年07月17日
口鼻瘻管は、口腔と鼻腔の間の歯槽骨が破壊されることにより、瘻管が形成され貫通してしまう疾患です。主な原因は歯周病ですが、その他に外傷、異物の貫通、咬傷、電気ショック、口腔内腫瘍などの報告があります。犬で比較的多くみられ、猫では稀です。いずれの犬種でも見られますが、長頭種、特にダックスフンドやトイ・プードルなどの小型犬に多くみられる傾向があります。
本症は、上顎歯に歯周病などが存在することにより、口腔と鼻腔を隔てている厚さ1~2mmほどしかない上顎骨が吸収されて、上顎骨の直上に位置する鼻腔に貫通してしまうことにより引き起こされます。
症状は、くしゃみや片側性あるいは両側性の鼻汁や鼻出血がよく認められます。主に原因となる歯は、上顎犬歯、上顎第3切歯、上顎第2前臼歯ですが、これ以外にも上顎歯であればいずれも本症を引き起こす可能性があります。
診断は、肉眼ですでに罹患歯が重度の歯周病により脱落して存在せず、鼻腔が確認できる状態であれば口鼻瘻管であることが明らかですが、通常は容易には確認できないため、上顎歯に沿って歯周ポケットの中に歯周プローブを挿入し、同側の鼻腔から出血が見られれば口鼻瘻管と診断します。特に上顎歯の動揺が強ければ本症の疑いがあります。口腔内X線検査にて上顎歯の歯槽骨の吸収像が確認できることがあり、その場合確定診断が可能ですが、はっきりと確認できない場合も少なくないため、最終的な診断方法はCT検査になります。このような画像診断は、異物の存在や腫瘍に伴って生じた骨融解などとの鑑別に非常に役立ちます。
本症を放置すると慢性鼻炎、副鼻腔炎および肺炎を引き起こす可能性があるため、治療は必須です。口鼻瘻管の原因となっている歯が残存していれば抜歯を行ってから欠損部を封鎖し、術後は抗菌薬を投与していきます。通常は適切な手術を行うことで治癒に向かいます。しかし、縫合部位を前肢で気にしたり、床に縫合部位を擦り付けたりすることで縫合部位が開くことがあるため、術後管理が肝要になります。
T.H.
ハムスターがネズミ捕り用粘着シートに捕まったら...
16年07月10日
ハムスターはネズミ捕りに捕まっただけでも体力を消耗し危険な状態に陥ることがあります。ハムスターが粘着シートに絡まった際の対処法をご紹介します。
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ハムスターに付着している粘着剤のところに小麦粉を十分量塗布する
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ハムスターが絡んだ粘着剤のところにマヨネーズを塗る
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ハムスターを持ち上げるようにしながら、粘着剤にマヨネーズを練りこむようにして少しずつシートから離す
プラスチックの手袋をつけながら行うと手袋に粘着剤が付かず作業しやすい。適宜マヨネーズを塗布したハサミを使用する
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粘着剤からハムスターが離れたら、ハムスターに付着したマヨネーズに小麦粉を練りこみ、ハサミやピンセットを用いて大まかに除去する。体表に残った小麦粉等は自然に脱落するのを数日待つ
とにかく、ハムスターを暴れさせない、衰弱させないことが大切です。なるべく早めの処置が望まれますので、頭の片隅に置いておいてください。
M.M.
避妊手術・去勢手術で太る??
16年07月03日
よく子犬を新たに家族に迎え入れた飼い主さんから、避妊や去勢手術をすると太るから心配だという声をよく聞きます。きっとお友達のワンちゃんが手術をしたあとに太ったというのを聞いたことがあるのだと思います。それには根拠があるのでしょうか?
確かに避妊・去勢手術を行った犬猫では、されていない犬猫に比べて約2倍体重過剰になりやすいというデータがあります。これはいくつかの理由があり、ひとつは手術を行ったとき、していないときと比べて20~25%安静時代謝率が低下するといわれています。つまり性ホルモンが減少することで代謝が落ち、体重を維持するための必要カロリーが75~80%程度しか必要としなくなるということです。またエストロゲンは食欲を抑制させる働きがあるそうなので、避妊手術によりエストロゲンが減少すると食欲が増加することとなります。つまり食欲が増加するのにも関わらず代謝が落ちて太りやすくなるのです。
いくつかの研究によると年齢とともに体重過剰の動物が増加することが知られています。2歳以下ではごく少数しか体重過剰の個体はいませんが、2歳を過ぎると増加し、6~8歳あたりで最も多くなるといわれています。つまり人間と同じで中年にさしかかると肥満が増加します。このタイミングで避妊・去勢手術を行うとさらに体重増加に拍車がかかります。病気を予防するために避妊・去勢手術を行ったのに、そのあとに太ってメタボな病気になってしまったら元も子もありませんね。
しかし上記のことも、若いうちに手術を行うとホルモンの作用は大きくありませんから、その影響は最小限となります。実際に生後6カ月~1歳くらいで避妊・去勢手術を行っても太る子はほぼいないと感じています。つまり若い子が手術をしても適切な食事を与えていれば肥満になることはほぼないので、心配はありません。
当院ではもちろん中年齢以降における避妊・去勢手術を行った際には体重コントロールのお話も同時にさせていただいております。最近は肥満の子も多く肥満も病気とされています。ダイエット計画のお手伝いもさせていただきますので、ぜひご相談ください。
T.S.