南が丘動物通信

散歩中に注意したい動物たち 23年06月05日

梅雨に入り、蒸し暑い季節になってきました。この時期になると暑くて熱中症などには注意したいところです。実はそれ以外にも注意しなくてはいけないのが、散歩中に遭遇しうる動物たちです。この時期増えるヒキガエルの誤食やヘビによる咬傷です。お散歩中のワンちゃんやネコちゃんがこれらの動物に遭遇すると、興味を持って近づいて、場合によっては食べてしまったり、ちょっかいを出したりすることがあります。ヒキガエルは寄生虫とカエル毒に注意したいですね。寄生虫というのは、マンソン裂頭条虫やツボ型吸虫と呼ばれるもので、小腸に寄生して長期的な下痢をひきおこす疾患です。治療せずに長引いてしまうと慢性的な下痢を引き起こして痩せていく。大量寄生だと腸の通過障害から腸閉塞をしばしば起こすこともあります。これらは、駆虫薬を使うことで落とすことができます。

カエル毒と言っても全てのカエルに有害な毒があるわけではなく、日本においてはニホンヒキガエルによる中毒が認められます。原因物質はインドールアルキルアミンという心臓血管系に毒性がある物質です。症状は、高体温、唾液分泌過多、不整脈、頻脈などを引き起こします。症状は比較的すぐ発生し、最悪のケースでは1時間以内で死亡してしまうケースもあるみたいです。実は中毒量ははっきりしていないのが現状で、仮に食べてしまうようなことがあったら、大量の水で口腔内を洗浄して毒を少しでも除去していただき、その上で動物病院に連絡してください。

 ヘビと言っても種類は様々で、アオダイショウやシマヘビなどの無毒なものからマムシ、ヤマカガシ、ハブのように猛毒を持つヘビまで存在します。比較的ヤマカガシによる咬傷事例はそこまで多くないようで、圧倒的にマムシが多くの被害事例として報告されています。

そのヘビ毒はタンパク分解酵素を含み、全身組織で出血、溶血、壊死を引き起こします。心臓、神経にも毒性を示します。場合によっては呼吸困難、低血圧、痙攣、D I Cや急性腎不全などの重篤になりうる症状も出てしまい、すぐに対処しないと命に関わる危険性を有しています。

受傷直後であれば、毒液を排泄させるために掃除機やポイズンリムーバーで吸引することで毒液の排出を試みる。よく映画などで、口で吸引して捨てるというシーンを目にしますが

かえって口腔内細菌を注入してしまったり、毒液を人が吸い込んでしまったりなどのリスクがあるため行わないようにしてください。急性期の治療としては、ヘビ毒が体内で解毒されるまで点滴や抗生剤投与で集中治療が必要になります。また、急性期を乗り越えたとしても、咬傷部の皮膚の壊死、潰瘍が広がってくる可能性が問題になり、場合によっては外科的に介入しなければならないこともあります。

 散歩中にはできるだけ草むらや藪のなか こちらから把握できない視界が不明瞭なところは避けて散歩するようにしてください。

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