動物は「痛み」を言葉に出して訴えることができません。特にネコちゃんは痛みを隠す傾向にあります。そのため、病院内において獣医師や看護師が猫の疼痛を評価することは非常に難しい問題です。これまで、猫の急性痛および慢性痛を評価する様々な方法が検討されてきましたが、そのほとんどが主観的評価によるもので、評価に差が生じることもしばしばみられました。
最近、動物のいたみ研究会というグループが、猫の表情をAIで分析することで、猫が「いたみを抱えている顔」をしているかどうかを判別できるツールを開発しました。このアプリの開発のために約6,000枚の猫の顔写真データを収集し、猫がいたみを抱えている表情をスコア化できるようにAIに学習させ、未知の画像に対しても、類似の特徴から猫がいたみを抱えているか否かを高精度で推定できるアプリの開発に成功したようです。
このアプリでは、自分の猫の顔写真を撮影するか、過去に撮影した写真をアップロードするだけで、数秒以内に「いたみの表情」があるか否かが表示されるようです。とても簡単に利用でき、遊び感覚で使用することができます。
現状では、急性痛に重きをおいて開発しているため、慢性痛のある猫での精度は検証中です。今後、自宅での評価のみならず、獣医療現場においても疼痛評価や治療経過のモニタリングにも使用できることが期待されます。飼い主さまに使用してもらえるバージョンがすでに公開されているようなので、ぜひ興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。
D.N.