大阪府立大学獣医臨床センターでの放射線治療 演者:和田 悠佑先生
動物医療においてガン治療にはいくつもの治療方法が確立されています。今回は放射線治療について大阪府立大学獣医臨床センター 腫瘍科 和田先生に伺いました。
そもそも放射線治療の適用例としてどんな腫瘍があるか?
①高い放射線感受性が期待され、局所だけを狙える腫瘍(リンパ腫、棘細胞性エナメル上皮腫etc.)
②解剖学的に手術が困難な腫瘍(鼻腔内・口腔内腫瘍、脳腫瘍etc.)
③疼痛緩和目的(骨肉腫etc.)
以上のものが挙げられます。特に猫の鼻腔内リンパ腫に関してはかなりの成績が良いと思います。
また、手術後の補助療法として用いられることもあります。
では照射する手順はどのように行うのか?完全に動きを封じる必要性があるため、全身麻酔下でまずC T検査を行い、照射計画をその場ですぐに作成し、照射位置を定めて、いざ照射という流れになります。照射自体は3−10分ほどで終わり、トータル約2時間で終わります。照射スケジュールとして何回も照射する分割照射が必要であるが、その理由の一つとして4つのR(Repair,Redistribution,Reoxygenation,Repopulation)があります。これにより正常組織を守りつつ、腫瘍組織だけを縮小することができます。
当院でも症例によっては紹介させていただいています。ぜひ参考になればと思います。
H.F