南が丘動物通信

犬の発汗 20年09月20日

犬の体温調節は呼吸に依存していることは周知の事実である。そのためか犬は汗をかかないと思われることもあるが、犬にも人と同じように汗を分泌する汗腺としてアポクリン腺とエクリン腺が存在する。汗には体温調節の他皮膚の保湿機能、フェロモンの分泌、抗菌活性や老廃物の排泄など様々な役割があり、犬においても同様であると考えられる。

気温が上がることによって発汗が引き起こされるアポクリン腺は犬では腋窩、鼠径部、腹部で多い傾向があり、過去の研究では室温をあげることによって犬でもこの部位からの発汗が口唇が認められている。一方肉球の裏に汗をかくということは病院に来た患者さんも診たことがあると思うが、これは体温が上がることの発刊ではなくおもに緊張などの精神性発汗と考えられている。

人では多汗症からの皮膚トラブルが知られているが犬では見た目で汗っかきであるという診断はなかなか難しい。しかしながら過去の報告では病理組織検査をしたアトピー性皮膚炎に罹患している患者の4~13%で脂漏症と多汗症の併発が見られたという報告もあり、汗っかきで皮膚が弱くなってしまう。という犬は確かに存在している。犬における多汗症のガイドラインは見られていないが基本的には暑さのコントロールと清潔にしてあげるためのシャンプーが一番であるという皮膚病の基本が大事ではないかと思われる。

S.A