南が丘動物通信

アフターコロナによるペットたちの分離不安症 20年06月10日

在宅勤務が増えて、犬と一緒にいられる時間が増えた飼い主さんは少なくないと思います。

飼い主の多くは自粛期間中に愛犬と多くの時間を過ごすことは素晴らしいことと感じ、犬たちもまた同様に感じているでしょう。しかし、そんな特別な状況だからこそ、犬の分離不安症を引き起こしてしまう可能性があります。彼らが私たち飼い主といつも一緒にいることを当然と思ってしまっていたら、通常の生活が戻ったときに、その状況に対応することができないのです。

では、分離不安症とはどのような病気なのでしょうか。

分離不安症とは、愛着のある人や場所から急に離れることに不安を感じることの心理学用語です。 

分離不安症は愛犬が独りのときに常にストレスを感じているじょうたいです。ストレスを感じると、ドアを引っ掻いたり、噛んだり、物を乱暴に扱ったり、大声で吠えたり、他の問題行動をとって気を引こうとします。 ただ人間の精神疾患と同じで、犬の精神疾患も診断が難しいものです。以下に分離不安症かもしれないサインを挙げていきます。

1.無駄吠えする

2.同じところを同じスピードで歩き回る(ペーシング)と落ち着きのなさ

3.息が荒い、唾液の分泌量が多い

4.落ち着きがなく、ドアを引っ掻いたり、ドアの下を掘ろうとする

5.家や部屋から逃げようとする

6.よだれをたらす

7・物を壊す(まくら、クッション、ソファ、家具など)

8.食糞

9.噛む(とくにあなたが最近触ったもの)

10.瞳孔が開いている

11.窓から飛び出そうとする

12.壁をかじる

13.あなたが帰宅したらしつこくついて回る

14.発汗

15.あなたがカギを持つなど、出かけるサインをみると隠れたり、鳴いたりする

16.食事をとらない

17.あなたが帰宅した時に過度の興奮をする

18.ドアなどの出入り口を破壊しようとする

19.室内で尿失禁や便失禁をしてしまう

20.嘔吐

以上が症状になります。

犬は環境の変化に弱い生き物です。コロナによる環境の変化により、ワンちゃんもストレスを受けています。コロナによる環境の変化も「変化」であり、また、この混乱がおさまって日常に戻る過程も「変化」なのです。

外出自粛の中、24時間ずっと人と一緒にいたワンちゃんが、いきなり通常の生活に戻り、長時間の留守番をさせられるとワンちゃんは変化についていけなくなるのです。

分離不安症を予防するには

外出時、帰宅時の挨拶はやめましょう。

外出時や帰宅時のあいさつで、興奮や嬉しさが高まれば高まるほど、飼い主さん不在の時の寂しさやストレスは大きくなります。外出時も帰宅時も20分ほどワンちゃんの相手はせず、留守の時と同じ状況にし、必要以上に興奮させないことが重要です

・過剰な時間の共有はやめましょう。

一緒に寝る、仕事している時も足元や膝上に一緒にいる、というのはやりすぎです。犬がゆっくりしたいときには、ケージやクレート、ペット用のベッドなどのスペースに入ってもらって別々に過ごす時間を設けるようにしましょう

・タイムスケジュールを決めましょう

犬にとって、エネルギーが有り余っている状態でお留守番となると、寝ることもできず、破壊行動などの問題行動に発展してしまいます。留守番させる前に散歩に連れていく、飼い主と遊ぶ時間を十分にとっておく等、メリハリをつけたスケジュールを組みましょう

・留守の時間を楽しくする

コング等、長時間楽しめる知育玩具やおやつを使い、お留守番の時間をとびきり楽しい時間にしましょう

・少しずつお留守番(飼い主の不在)に慣らしましょう

いきなり長時間のお留守番を行うと、犬の不安が増大します。 まずは

犬から姿が見えない隣の部屋に数分行って、戻ってくる

隣の部屋で数十分過ごしてから戻ってくる

家を出て数分したら、戻ってくる

家を出て数十分したら、戻ってくる

という形で時間を徐々に長くしていきます

ここで重要なのは「必ず飼い主さんは留守しても戻ってくるんだ」ということを認識させることです。

あきらかに分離不安症の症状がひどく、手に負えない場合には当院にご相談下さい

人もストレスを抱えている状況で、ワンちゃんもストレスで問題行動が出てしまっては、ご家庭が険悪になってしまいます。

アフターコロナに備えてワンちゃんの精神面でのケアも怠らないようにしてきましょう

Y.N.