南が丘動物通信

2月9日 葉月会 画像診断学セミナー 第1回猫の腹部画像診断  20年02月09日

第1回 猫の腹部画像診断

戸島篤史先生 日本小動物医療センター画像診断科 科長

 今回は、猫の腹部エコーに関する診断のセミナーでした。画像診断の中でも、エコー検査は良く用いられているものですが、同時に検査を行う人によって見えかたや捉え方が異なる「主観的」な検査でもあります。今回のセミナーではエコーの見え方でどのような診断になるのかを具体例を交えつつ教えていただきました。例えば、肝臓のエコー所見では「結節orび微慢性」「低エコーor高エコー」などをポイントに見ていきます。異常の割合としては微慢性≫結節でそのなかでも微慢性で多いものは化膿性胆管肝炎、次いでリンパ球性胆管肝炎・肝臓変性、微小血管異形成が続きます。これらは統計上、多いものから並べていますが、多いものを把握し、特徴を押さえることが正しい診断をする第一歩と言えるでしょう。多いものから順に疑い、排除していくことでより効率よく除外診断が可能になります。次に脾臓に関してですが、脾臓はそのまま全体的に大きくなる「脾腫」≫「結節」で「脾腫」のなかでは特に「肥満細胞腫」と「リンパ腫」と呼ばれる腫瘍が多くなっており、犬で見られる「血管肉腫」などの腫瘍はあまり多くありません。よって脾臓が猫で脾臓が大きくなっている所見が得られた場合はまずは血管肉腫よりも肥満細胞腫・リンパ腫を疑うということになります。エコー検査は、問診や血液検査、尿検査などと組み合わせて行うとより正確な診断が可能になり、状態が悪い子のモニタリングや疾病の早期発見にも有効です。今回のセミナーを通してよりエコーの重要性を理解し、今後の診療に生かしていこうと思いました。

K・G