高齢猫の腎臓病発症の危険因子として中程度および重度の歯科疾患が挙げられる、という報告が2016年にロンドンの王立獣医科大学からありました。
ヒトではすでに歯周病などの口腔内感染症は口腔内組織のみに影響を与える局所疾患であるだけでなく、全身への影響があることが示されています。そして、慢性腎臓病のリスク因子であるとも言われています。今回の報告では、猫でも同様である、と主張されています。
以前から歯周病と慢性腎臓病が関係あると報告されており、我々臨床獣医師の印象としても、慢性腎臓病の猫の口腔内疾患は珍しくありません。歯周病が慢性腎臓病に先行している、という報告は新しいものです。歯周病から、菌が血流にのって全身をめぐり、腎臓を含めさまざまな炎症を引き起こすことが原因だろうと言われています。
なかなか猫ちゃんのデンタルケアは難しい部分も多いですが、嫌がられないところから、毎日のスキンシップにデンタルケアを加えて、口腔内の病気はもちろん、腎臓病を含めたさまざまな病気のリスクを減らしていきたいですね。
M.K