猫伝染性腹膜炎(FIP)は、経口や経鼻から比較的容易に感染が広がることが知られている猫の感染症の中でも有名な病気ですが、根治を期待できる治療法は確率されておりません。また、発症した猫の予後は極めて悪いとされ、診断から数日~数か月で死亡・または安楽死。その中央値は9日間という報告もあります。さらに、有効なワクチンも確立されておりません。
その極めて治療の難しい病気であるFIPについて、今年の2月にカリフォルニア大学デイビス校の研究が発表されました。GS-441524 というウイルスの複製を阻害する新薬が猫伝染性腹膜炎に有効である、という内容で、話題になっております。31匹の猫での報告で、そのうち26匹の猫が12週間の投薬期間を完了しています。また、その26匹においては、治療開始すぐに発熱や食欲の低下、活動の低下といった臨床症状が改善しているとも報告がありました。
まだまだ日本国内の一般臨床で用いられる段階ではありませんが、不治の病とされていた病気に対して希望の持てる新しい話題は嬉しいものです。教科書のFIPのページから、予後不良の文字が消える日が来るかもしれませんね。
M.K