石田卓夫先生による猫の獣医学シリーズ 第5回目として猫の肝疾患は
肝臓疾患に関連した症状は他の病気(腎や心)と同じく体重減少や食欲不振、嘔吐といった所見が見られる。
その際にどのようにして他の病気との鑑別をしていくかは非常に難しいため、精密検査による絞込みが大事である。
まず血液検査ではCBCによる赤血球系、白血球系を確認。貧血がある場合は炎症、エリスロポエチン濃度の減少、脂質異常による溶血性貧血などが挙げられる。
次に大事な検査として尿検査であり、肝疾患症例においてはビリルビンの検出率が血中よりも高いため、有用である。他にも尿比重の低下が肝不全による尿素の産生低下に関連があったりする。
しかし、猫では肝不全は極めて稀であるため、その診断は難しい。その際の確定診断には肝生検が必要である。
診断の有用さは吸引生検<Tru-Cut<くさび生検<切除生検の順であり、麻酔下での処置は必須である。
肝臓だけに焦点を当てていると三臓器炎を見落としがちになるため注意が必要であるため、常の意識しておく必要性がある。
H.F