年2回開催される日本獣医がん学会、毎年冬は大阪で行われます。今年のメインシンポジウムは遭遇する機会の多い肥満細胞腫についてでした。
肥満細胞腫とは皮膚に発生する悪性の腫瘍で、その細胞的な特徴と悪性腫瘍としての挙動の悪さから多くの研究がなされている腫瘍です。多くの症例は外科的切除で根治可能なことが多いですが、ごく最近の研究では触知できない正常サイズの所属リンパ節にも、組織学的に転移が半数は成立していると報告されており、大きさに関わらずリンパ節も摘出する必要性を感じました。化学療法についての講義では、肥満細胞腫に対する抗癌剤の変遷から解説していただきとても面白い講義でした。化学療法はあまり感受性の高い治療法とはいえず、分子標的薬もまだまだ検討の余地があるとのことなので、さらに最新の情報を求めていきたいと思います。
T.S.