人も犬も猫も、歯周病はとても多く様々な病気の原因となることが知られていることから、歯科処置に積極的な飼い主さんが多くなったと感じています。動物病院で行う歯科処置はほとんどが麻酔下で行いますが、それはもちろんメリットが大きいためです。巷では無麻酔で歯石除去などの処置を実施していると聞きますが、正直言ってあまりオススメできません。いくつかのポイントを下に並べてみました。
麻酔は安全性、確実性の面から必要!
歯科処置は単に歯石を取るだけでは意味がありません。歯周ポケットという隙間を掃除したり、ポリッシングといって歯の表面をツルツルに研磨する作業も行います。とても細かい作業になりますので、これを不動化していない動物の口を無理やり開けさせて保持して行うことは不可能に近いと言えますし、動物のストレスは多大なるものになるでしょう。また人で歯医者さんに行ってクリーニングをしてもらうと分かりますが、多少痛みや出血を伴います。動物はそれらを大変怖がりますし、動くことで鋭利な器具で口の中を傷つけてしまうリスクもあります。麻酔をかけることによってこれらの問題は解決されます。
麻酔はリスクの評価をきちんと行えば危険性はかなり低い
麻酔というだけで過度な恐怖心を抱く方が少なくないように思います。歯科処置を行うということは中年齢以上の動物が多くなりますが、その子の既往歴や内臓機能を適切に検査することで麻酔に対するリスクを評価します。その結果から処置の是非を判断しますので、処置をするほとんどの子は麻酔を安全に行うことができます。
特に犬は歯周病がひどくて食欲が落ちる、ということがない動物なのでつい処置が後手になってしまいます。なにが動物にとって安全なのか、それを理解した上で歯の処置を行ってほしいです。
T.S.