南が丘動物通信

1月19日志学会 月例会 18年01月19日

志学会 月例会

平成30119

講師:岸上 義弘 先生 (岸上獣医科病院)

獣医再生医療の実際の具体例

現在、ヒト医療において幹細胞などを用いた再生医療が脚光を浴びています。今回の演題は自らの病院にも再生医療を取り入れている岸上先生による獣医学領域における脊髄損傷の犬に用いた再生医療の実際を教えていただきました。

脊髄損傷椎間板ヘルニアは椎間板物質がなんらかの衝撃により突出し脊髄を損傷するため、圧迫を取り除けば問題ないとされてきましたが、重症例では圧迫だけが悪さをしているわけではなく、衝撃由来の炎症も関与していた可能性が示唆されます

ではダメージを受けた脊髄を治療するにはどうすればいいのか?下記の手順が紹介されました。

安静 ②MRIによる診断(ヘルニアの大きさ、脊髄の炎症度) ③薬剤の使用(神経への栄養補給)

④大きなヘルニアには外科手術 ⑤虚血・炎症に対して幹細胞療法 ⑥リハビリテーション

の6つが大切とされています。

しかし、脊髄へのダメージは一次性損傷(物理的衝撃と圧迫)と二次性損傷(炎症・壊死・瘢痕化・軟化)に分かれます。ここで問題となることは炎症後に形成される瘢痕化(かさぶたみたいなもの)により治癒が妨げられるとされています。そのため瘢痕化して経過が経ってしまった慢性の椎間板ヘルニア(グレード5)では効果が低いとされています。そのため早期発見・早期治療が大事だと思われます。

HF