小動物呼吸器病学(肺、縦隔、その他など)
日本獣医生命科学大学放射線学教室 藤田道郎先生
今回は肺水腫など呼吸器に関する疾患について講演していただきました。肺水腫とは肺の中に水が溜まった状態のことで、治療が遅れると命にかかわる病態です。肺水腫の原因としては心臓疾患に起因する心原性肺水腫と心臓疾患以外の原因に起因する非心原性肺水腫があります。心原性肺水腫は僧房弁閉鎖不全症や拡張型心筋症などによる左心不全が原因となる場合や急激な大量輸液により肺毛細血管圧の上昇により容量負荷がかかることが原因となる場合があります。非心原性肺水腫は喉頭部疾患などによる閉塞性や神経性、急性肺障害/急性呼吸窮迫症候群、溺水、煙吸引、薬物障害、酸素障害、アナフィラキシーなど原因は多岐にわたっているため治療が困難な場合があります。肺水腫になると、湿った咳が出たり、呼吸が速くなったり、口を開けて呼吸をするなどの症状が見られます。とくに夏の暑い時期では熱中症に続発して肺水腫を発症する場合があるのでこういった症状が認められた場合には注意が必要です。
Y.I