膀胱全摘術
酪農学園大学獣医学部伴侶動物医療部門 廉澤剛先生
今回は遭遇することの多い膀胱癌の手術についてのセミナーでした。犬の膀胱癌はなかなか根治を達成することが難しく、それは発生する部位(三角部)、再発しやすい、医原性の播種を起こしやすい、転移しやすいことなどが理由となります。三角部に発生が多い事から、膀胱の部分摘出が適用となる症例はそれほど多くなく、膀胱の全摘出も治療法のひとつになります。膀胱はなくなるものの、根治させられる可能性は向上します。膀胱全摘出を行う際には尿管をどこにつなぐかが問題となりますが、先生は尿管と尿道を吻合する方法を行っているそうで、さらに必要に応じて全尿道摘出も行っています。これは特に雄犬では前立腺尿道まで腫瘍が浸潤していることが多いからだそうです。
膀胱癌は手術だけでなく内科療法も適用となる腫瘍です。患者の状態に合わせたより良い治療法のご提案ができたらと思いました。
T.S.