猫の眼内肉腫はブドウ膜に発生する腫瘍で2番目に多い眼原発性の腫瘍です(1番はび漫性虹彩メラノーマになります)。悪性度の高い腫瘍で、特徴的なのは眼内に傷がついた後に起こる肉腫であるということです。大凡受傷後5年での腫瘍の確認がされます。
障害の原因としては、水小体の外傷、慢性ブドウ膜炎、眼内手術などが挙げられます。臨床症状としては慢性ブドウ膜炎、緑内障、眼内出血などが認められます。腫瘍は軟骨や骨を形成しながら視神経まで浸潤していき、領域リンパ節に遠隔転移を引き起こします。悪性度が高いことから早期の眼球摘出が必要となります。ただ、鑑別診断として、上記に挙げたび漫性虹彩メラノーマのほかに、リンパ腫の転移による二次性の腫瘍の可能性もあります。これらの腫瘍における臨床症状は一致しているため、鑑別診断には一般的な眼の検査で腫瘍が確認された場合には全身状態の検査とともに、細胞診や病理組織検査が必須になりますが、細胞診を行う場合には眼内出血とそれに伴う、より深刻な合併症が起こり得る可能性があるので注意が必要となります。ただ、眼内肉腫の場合はなにより受傷歴の有無や慢性のブドウ膜炎が暫定診断に必要となります。
S.A