南が丘動物通信

好酸球性気管支肺疾患 16年03月20日

好酸球性気管支肺疾患は、肺好酸球増加症、好酸球性肺炎や好酸球性肺浸潤とも呼ばれ、肺にいくつも肉芽腫を形成する好酸球性肉芽腫症も含まれます。その病態生理はいまだ不明な部分も多いですが、犬糸状虫(フィラリア)症や肺寄生虫症、または寄生虫の肺への迷入などが主な原因と考えられており、そのような病態とは関係なく原因不明で特発性に発症することもあります。また何らかのアレルギーによる過敏性反応が示唆されています。

症状は緩徐に進行し、咳から運動不耐性、呼吸困難に陥ることもあります。血液検査では好中球や好酸球の増加がみられ、X線検査では気管支性および間質性陰影が認められ、気管支壁の肥厚や拡張が顕著な症例もあります。気管支肺胞洗浄液や鼻汁の細胞診でも好酸球が検出される場合もあります。原因究明のために、犬糸状虫に対する血液および血清学的検査やその他の寄生虫に対する検査(糞便検査など)を実施することもあります。

治療は寄生虫などによる原因が判明すればそれに対する駆虫剤を選択します。最終的に原因不明の場合はコルチコステロイドを免疫抑制量からはじめ、後に漸減していきます。投与方法は経口投与のほかに吸入療法を実施することもあります。その他の免疫抑制剤としてシクロスポリンの使用も報告されています。好酸球からの脱顆粒は気管支痙縮や非心原性肺水腫を引き起こすこともあるので、治療中の病態の変化にも注意が必要です。

H.B.