新大阪で開催された日本獣医再生医療学会に参加してきました。今年は去年よりも参加人数もかなり増えて活気のある大会でした。
再生医療とは、患者自身の細胞・組織または他者の細胞・組織を培養等加工したものを用いて、失われた組織や臓器を修復・再生する医療です。
幹細胞は大きく分けて多能性幹細胞(生体内には存在しない、人工的に作られほぼすべての組織・細胞に分化することができる細胞;ES細胞やiPS細胞)と体性幹細胞(体の組織の中に存在しておりある程度の多分化能を持つ細胞;骨髄幹細胞や造血幹細胞、脂肪由来間葉系幹細胞)に分けられます。
山中教授のノーベル賞受賞もあり、iPS細胞の可能性や再生医療にも大きな注目がされていますが、現在、実際に臨床現場で行われている再生医療の主流は体性幹細胞を用いたものです。
心筋シートなどの細胞工学から、間葉系幹細胞療法やリンパ球療法などの免疫療法などなど。人では臓器移植時の免疫反応を抑えるために間葉系幹細胞製剤が保険適用され、現在治験が行われています。
獣医療でも再生医療は普及しつつあり、主に使われているのは、脂肪由来間葉系幹細胞療法とリンパ球療法です。獣医再生医療はまだ新しい医療であり、手探りの部分もある段階です。再生医療は万能薬ではありません。再生医療を行うにあたっての注意点、細胞を扱う際の品質管理など、基本に戻っていかに安全に再生医療という薬を提供していくかということに関しても多くのお話がありました。
症例発表では、難治性の角膜潰瘍や皮膚潰瘍、骨折の治療に非常に有効だと感じました。適材適所でこうした治療を提供できるよう日々努力していきたいと改めて感じました。
M.M.