南が丘動物通信

1月15日 葉月会循環器セミナー 15年01月16日

僧帽弁閉鎖不全症の外科的治療
~手術の適応と術後管理~
菅野信之先生(狭山動物心臓病研究会、獣医循環器学会認定医)

変性性僧帽弁疾患による僧帽弁逆流は、犬でよく発生する代表的な心疾患です。病態の悪化は動物の年齢(高齢化)、僧帽弁逆流(心雑音)の程度、および弁の変性の程度に関連しており、発咳や運動不耐性、呼吸困難(肺水腫などによる)といった症状が進行性あるいは急性に起きます。心臓血管薬を用いた内科的治療が一般的ですが、病態の進行のスピードをある程度緩徐にはできても根治療法には至りません。体外循環を用いて腱索再建術や弁輪縫縮術を行う外科治療は僧帽弁閉鎖不全症の根治が期待できる治療です。菅野信之先生は専門スタッフとともにチームを構成し、僧帽弁閉鎖不全症をはじめとした心臓外科手術に取り組んでおります。今回、僧帽弁閉鎖不全症の外科的治療の適応、術前~手術~術後の流れ、術後の合併症などについて実際の症例の写真や動画を交えて講義していただきました。現在の獣医療ではまだまだ心臓外科を行える施設も少なく、それゆえにホームドクターは心臓手術に対する理解を深め、手術実施に向けた専門医とのネットワークの構築が望まれます。
H.B.