ファーブル動物病院眼科 院長
山下 真 先生
テーマ:点眼薬、基礎と実際
今回は点眼薬の基礎についての講義でした。
・点眼薬の一回量のは一滴で十分で、それ以上入れても点眼薬を眼内に保持できず、多すぎた分は経口投与になるため薬剤毒性が出やすくなる。
・点眼薬が90%吸収されるのに5分かかるので、5分以内に次の点眼薬を入れると前の点眼が流れてしまい効果が得られない。軟膏点眼の場合は次の点眼まで20分以上あけること。
・点眼薬の使用期限、管理方法を守らないと十分な薬効が得られない。
・点眼後すぐにご褒美または食事を与えることで点眼を嫌がらなくなる...かもしれない。
といったご自宅で点眼治療をしていただくときの注意点もしっかり伝えないと有効な治療ができないので、点眼指導も獣医師の大切な仕事だと思いました。
強膜炎、ぶどう膜炎などの眼内炎症ではステロイド剤の点眼を使います。炎症は速やかにひかせる必要がありますが、ゆっくり時間をかけて離脱しないと再発してしまうというリスクがあるということを常に意識し、飼い主様にも理解して協力してもらうことが大切だと思いました。
また、ヘルペスウイルス感染症による角膜炎の猫にステロイド点眼を行うと初めはそれなりに症状はよくなりますが、その後確実にウイルスが活性化し酷い状態が持続してしまうという怖いお話もデータを基に示していただきました。 M.M.