飼い主さんは犬猫の眼の異常に気づきやすく、眼がおかしい、見えてないなどの主訴で来院する患者さんは多くいます。もちろん眼の異常は存在するのですが、実はその異常が眼だけの問題でないことが多々あります。その代表的な病気を紹介します。
糖尿病は人においても多くの合併症を引き起こすことで有名ですが、動物でも同じです。犬は糖尿病性白内障を呈し、75%が糖尿病を発症してから一年以内に白内障になると言われていますが、一夜にして水晶体が真っ白になってしまうこともあります。糖尿病では他にもぶどう膜炎、角膜治癒の遅延、網膜症なども引き起こします。
高齢の猫は慢性の腎臓病になりやすく、その合併症として全身性高血圧があります。高血圧は網膜の出血、網膜剥離などの原因となり、その結果失明します。腎臓病以外にもクッシング症候群、甲状腺機能亢進症などでも高血圧からの失明を起こし、いずれの病気でも基礎疾患の治療が重要となります。
ホルネル症候群は交感神経系の障害により、縮瞳、瞬膜突出、眼瞼下垂、眼球陥没という眼症状を呈する病気です。障害部位により一次、二次、三次性に分類され、また甲状腺機能低下症でも発症するため鑑別が重要です。
以上のものはほんの一部です、眼に症状があっても常に他の部位の病気も考えなければなりません。
T.S.