南が丘動物通信

犬趾間皮膚炎 13年12月04日

 肢先、つまり人でいう指や指の間に炎症が起こり、犬が舐めてしまっての脱毛、腫脹、発赤、疼痛を伴う皮膚炎は比較的よく遭遇する疾患です。原因は、解剖学的な問題、アレルギー、感染、代謝疾患、免疫的な問題、異物、創傷、環境因子など多岐に渡ります。残念なことに、個々の症例において、原因を特定する診断的な身体所見はありません。診断として、細胞診、皮膚スクラッチ検査、バイオプシー検査が有用になることがあります。また原因は1つとは限らず、根本的な原因に感染症が重なって症状がひどくなっていることもあります。アカラス症は、若齢犬や老齢犬に多い原因の一つです。また趾間は、異物が他の場所と異なり入り込みやすく、異物反応の結果皮膚病が落ち着かないことがあります。他にも自らの肢をなめ続けることによって、ケラチンが皮膚の中に押し込み、体が異物と認識することや毛包が破裂し体が毛根を異物と認識してしまい過剰に異物反応が出てしまうことがあります。異物反応が出ている場合は、その部位を切除することで改善が見られます。逆に切除をしないと症状が落ち着かないことが多いです。
二次的な感染症は、抗生剤や、抗真菌剤で落ち着かせることが出来ますが、根本がアレルギーが原因である場合、残念ながら繰り返すことの多い疾患ではあります。
自分で咬んでしまう結果、皮膚が損傷を受け皮膚バリア機能が低下し感染症が悪化をすることがあります。
 治療は、まず感染症があるなら感染症の治療を始めます。 環境因子の除去のために足先だけ定期的にシャンプーすると改善が認められることもあります。 また異物反応が考えられるなら原因除去、アレルギーが疑われるならそれに対する治療、免疫的な疾患の場合は免疫抑制剤治療など原因や症状によって選択する治療は異なってきます。
 趾間皮膚炎は飼い主様にとってもワンちゃんにとってもとてもストレスのかかる病気です。
 原因は1回では分からないこともありますが、経過とともに改善が見込める病気でもあると思います
 ワンちゃんのストレスを軽減できるお手伝いが出来れば・・と思います         M.N