南が丘動物通信

脾臓の腫瘤性病変 13年08月05日

 脾臓は血液のプール(貯蔵庫)、造血機能、免疫機能など、血液に関連した機能を有した臓器です。
 犬の脾臓の腫瘤は超音波検査で発見されることが多く、ほとんどは偶発的です。あるいは以前から存在していた腫瘤が破裂し、貧血とショック状態になってから発見されることもあり、この場合は命の危険があります。脾臓の腫瘤は良性であっても常に破裂のリスクを伴うために注意が必要です。
 ダブル3分の2の法則というものがあり、脾臓腫瘤の3分の2は悪性で、さらにその3分の2は血管肉腫という悪性度の強い腫瘍というものです。そのため脾臓に腫瘤があった場合には特に経過に気をつけなければなりません。血管肉腫のほかの悪性腫瘍には線維肉腫、組織球肉腫、平滑筋肉腫、転移病巣などが鑑別診断として挙げられ、良性・非腫瘍としては血腫、結節性過形成、梗塞、膿瘍などがありますが、先ほど書いたように良性でも破裂の可能性があるため放っておいて良いというわけではありません。また大きさも悪性度とは無関係で、むしろ悪性腫瘍ほど小さくても出血を引き起こす可能性があります。血管肉腫は非常に悪性度の強い腫瘍で、血管のあるところにはどこにでも転移するため発見時にはすでに肺や肝臓などに転移病巣があることも普通です。
 特にゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバーなどの大型犬に多く、これら犬種は腫瘍性疾患も多いので健康診断などで早期発見をしていけたらと思います。