寒くなってきましたが皆さん元気でお過ごしですか。
不思議なことですが寒くなると椎間板ヘルニア症例がふえます。
先日より何頭も続けて椎間板ヘルニアが来院しています。写真は12月11日の手術写真です。
椎間板ヘルニアの治癒率(歩行可能になる率)は医学の進歩によりかなり上昇しております。
歩けなくなってしまった重度椎間板ヘルニアの治癒率を上げるためには
①CTまたはMRIの撮影は必須になります。以前はレントゲンの脊髄造影検査から判断した時代がありましたが今になると椎間板物質の脱出部位の状態の評価もあいまいで、アプローチ部位手術方法にもかかわってくるため手術による成功率も低くなってしまいます。
②マイクロエンジンまたは超音波手術器具(キューサー)などの高度医療機器を使用し、繊細で高度な手術を行うことにより椎間板物質を完全に取り出すことが可能になります。
③リハビリが必要です。痛覚をなくし足先をつねっても感じないような症例には、特に鍼、電気による刺激治療が有効です。
④重度の椎間板ヘルニアが起こった時におこなう薬剤治療も以前とは変化してきました。以前はデキサメサゾンやプレドニゾロンのようなステロイドが使用されていましたが、現在は好中球エラスターゼ阻害薬やコハク酸メチルプレドニゾロンのようなフリーラジカル産生抑制剤を使用し、脊髄の保護を行うことにより回復率をあげることに重点をおいています。
⑤脊髄損傷がおおきく、回復が困難な場合は幹細胞による再生医療を行います。
①~⑤をおこなうことにより来院時歩行できなくなった重症例(グレードⅢ~V)の症例において、当院では90%をはるかに超える治癒率が得られております。なお重症症例の回復率は時間との争いになることが多いのでお早目の診察がお勧めされます。