可移植性性器肉腫は犬における性器の腫瘍です。この腫瘍は、近年ではまれな腫瘍となりましたが、自然が多い地方ではまだ見られる腫瘍です。腫瘍細胞は交配により犬から犬に伝播しますが、外生殖器を舐めたり、匂いを嗅いだりするような社会的行動によっても伝播することがあります。腫瘍のほとんどは生殖器に発生しますが、生殖器付近の皮膚や口、鼻、目の粘膜部分に腫瘤の形成が見られることもあります。この腫瘍は小さなものから大きなものまで様々で、カリフラワー状の腫瘤形成します。表面には潰瘍や炎症が見られることが多く、容易に出血します。
診断は組織検査によって行われますが、細胞診でも可移植性性器肉腫に特徴的な所見により診断できる場合もあります。
可移植性性器肉腫は、転移はあまりみられず、主に免疫抑制された犬や、この腫瘍を接種された子犬でみられます。
可移植性性器肉腫は放射線療法に良好な反応を示し、転移がない限り100%の治癒が得られたと報告されています。しかし、化学療法による反応も非常に良好で100%近い完全寛解を示すため、この腫瘍の治療には科学療法がもっとも一般的に行われています。