南が丘動物通信

ネコの糖尿病 10年08月17日

ネコの糖尿病の発生には、年齢、体重、性別、遺伝的素因、基礎疾患、その他多くの要因が関与していると考えられていますが、これらの要因がインスリンの感受性を低下させて高血糖を生み出し、持続的な高血糖がインスリン分泌細胞の機能不全を招くことによってインスリン不足になり、さらなる高血糖を生み出すという病態をとります。つまり、中年齢以上の雄に発生が多く、肥満は糖尿病の発生率を3~5倍にすると考えられています。また、食事もネコの糖尿病の発生要因と考えられており、炭水化物を多量に含む食事はインスリン感受性を低下させるために糖尿病発症のリスクを高めると考えられています。さらにネコの糖尿病は、慢性膵炎や腎不全、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症など他の疾患から二次的に起こる「二次性糖尿病」の発生も少なくありません。
糖尿病の初期では、飲水量が増える、尿量が増える、食欲が増す、痩せてくる、毛づやがなくなる、などの症状が認められます。さらに進行すると糖尿病性ケトアシドーシスという状態になり、元気がなくなる、食欲がなくなる、嘔吐するなどの症状が発現します。
診断は、症状、血液検査による高血糖、尿糖の確認によって行われます。
治療は、インスリンの注射が必要となる場合が多いです。一部では食餌変更、経口血糖降下剤、併発疾患の治療によってインスリンを使わずに維持できる場合もあります。
糖尿病は、初期の段階で発見することが難しく、状態が悪くなってから病院に連れてこられる場合が多い疾患です。普段からこまめに体重のチェックをしたり、水を飲む量や尿量に気を配ったりする事が早期発見に繋がると思われます。