南が丘動物通信

マラセチア皮膚炎 10年06月15日

 マラセチア皮膚炎は、脂質好性無菌糸酵母菌(カビの仲間)であるMalassezia pachydermatisあるいは他のマラセチア種によって引き起こされる皮膚疾患です。マラセチア皮膚炎の病原性については未だ議論が続いていますが、過剰な皮脂分泌物や高い湿潤性および正常防御機構の崩壊がこの菌の増殖につながり、菌の生み出す酵素が炎症や痒みを引き起こすと考えられています。また、犬のマラセチア皮膚炎のほとんどがアレルギー性疾患や角化異常を伴う疾患および他の慢性あるいは再発性炎症性皮膚疾患が根底に存在することによって、二次的に起こると考えられています。
 症状として、頚部腹側、腹部腹側、腋窩、顔面、耳介、四肢、全身の皺などに、痒みを伴う皮膚の赤み、脂っぽいフケ、脱毛などが認められ、慢性化すると皮膚がゾウの皮膚のように厚くなり、皮膚が黒っぽくなってきます。
 好発犬種は、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア、バセット・ハウンド、ジャーマン・シェパード・ドッグ、アメリカン・コッカー・スパニエル、シー・ズー、マルチーズ、チワワ、プードル、シェットランド・シープドッグ、ダックスフンド等です。
 治療は、抗真菌剤の内服および抗真菌剤の添加されたシャンプーを用いてのシャンプー療法によって行われます。また前述の通り、マラセチア皮膚炎は他の疾患による皮膚のバリア機能低下によって二次的に起こると考えられているので、原疾患がはっきりしている場合はそちらに対する治療も行う必要があります。
 これからしばらく暑い季節になり、皮膚のバリア機能も落ちやすい時期となりますが、定期的にシャンプーを行って、皮膚を清潔な状態に保つよう心掛けてあげてください。