南が丘動物通信

どこでも気軽にできる犬のがん検診 22年11月14日

11/14 葉月会セミナー 

今回のセミナーは犬のがん検診"リキッドバイオプシー"についてでした。久方ぶりの対面形式のセミナーでした。

現在犬の死因のトップは「がん」であるわけですが、なかなか早期発見が難しく、発見された頃にはステージも進行してしまっているということも多いのが現状です。

そこで開発されたのが、血液で診断ができるリキッドバイオプシーです。

これは、伊藤先生が、元国立がん研究センター分野長 東京医科大学 教授 落合孝広先生と共同で研究、開発されたがん検診の新たな早期発見ツールです。

その原理としては

がん細胞が出している「マイクロRNA」の検出です。マイクロRNAは、がん患者の血液中でその種類や量が変動することが知られています。

そもそもマイクロRNAとは

血液中に存在している遺伝情報で、特にがん細胞が出しているマイクロRNAは、

抗がん剤への抵抗性の発現、転移能や浸潤能(転移したり広がって行く能力)を獲得するための遺伝子になっていたりします。

このマイクロRNAを血液サンプルから検出する

リキッドバイオプシーでは以下の点が可能になります。

①健康診断と両立してがん検診ができる

②ステージ1での早期発見、早期診断が可能

③これまで存在しない犬のがんマーカーになりうる

④再発の予測ができるかも?

⑤動物に負担を与えず検査ができる

⑥早期診断により、根治する症例がふえる

検査の感度特異度も95%と高く、

現在は肝細胞癌、悪性リンパ腫、肥満細胞腫、メラノーマ、移行上皮癌の5種の診断が可能となっており、いずれも早期発見が重要な鍵を握る癌であります。

現在他の8癌種も解析しており、将来的にはそれらも検出可能になると犬の癌の7割を網羅できることになります。すでに検査キットの入手も可能になっているので、ご興味がある方は是非ご連絡していただくか、診察時に担当獣医師に相談してみてください。

R.I

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10月30日兵庫県開業獣医師会WEBセミナー・WEB研究発表会 22年11月02日

開業獣医師会(ベッツ兵庫)第7回WEBセミナー・WEB研究発表会が行われました。セミナーは大阪公立大学獣医外科研究室神経・整形外科診療科西田英高先生「臨床現場で差がつく!神経学的検査~ハンズオン編~」でした。前回のハンズオフ編に続く講演で、画像も多くあり理解しやすいものでした。「跳びなおり反応は猫ではCPより正確である」「神経障害は小脳では同側に出る」「フローティングは前肢の歩幅がせまく高く上げて歩く」「猫の脊髄リンパ腫は脊髄障害のもっとも一般的な理由で腎臓、骨髄からの続発・併発が多い」「第Ⅲ‐Ⅶ神経は延髄が支配」「前庭系疾患はくらくなるとひどくなるため明るくしておくとよい」などあたりまえのこともありますが、いろいろと再確認したことも多くためになりました。研究会では当院から「術後低血糖と糖尿病の両方がみられたインスリノーマの1例」中嶋佑治、姫路の藤本泰史先生「扁桃及び内咽頭後リンパ節切除後に嚥下障害を発症した犬の1例」淡路の安藤武樹先生の「イヌとネコに発生した血栓栓塞症(心筋梗塞と脳梗塞例)」の3題でした。それぞれ大変興味深く拝聴いたしました。S.S