南が丘動物通信

9月17日 志学会 月例会 21年09月17日

血液ガス勉強会~基本編~

塚越 雅之先生 イングメディカル

 今回は血液ガス分析装置についての講義でした。血液ガスは呼吸がきちんとできているか?身体の代謝に異常が無いか? 異常があればすぐに数値に反映されリアルタイムに生体内の情報が理解できるので、命に直結する重要な検査になってきます。ヒトの救急医療ではあたり前の様に導入されていますが、動物病院で導入しているところは、救急の病院を除くとかなり少なくなっています。もちろん当院でも導入しており、入院患畜や重症な患畜の病態の理解をするうえでもっとも重要な検査として普段の診療でなくてはならないものになっています。

血液ガスの分析装置で実際に見ている項目としては、血液のpHや重炭酸イオンやpCo2、pO2 といった血液中の二酸化炭素分圧や酸素分圧をみたり、Na⁺ K⁺ Ca²⁺と言った電解質も見ることができます。pH pCO2 重炭酸イオンを評価することで体の酸塩基平衡がわかります pCo2は肺から出ていき、重炭酸は腎臓で再吸収され調節されるので、pCo2が低下している場合は呼吸性のアルカローシス、pCO2が高い場合は呼吸性のアシドーシスであることがわかり、重炭酸イオンが高い場合は代謝性アルカローシス、重炭酸イオンが低い場合は代謝性アシドーシスに分類できるので、体の酸塩基平衡の異常がどこから来ているのか理解できるので対処しやすくなります。

実際の症例のデータも使いながら血液ガス分析の結果の評価を講義していただき、かなりわかりやすく、血液ガス分析の重要性とデータの活用方法を再認識できました。これからの診療にしっかり活かしていきたいと思います。

Y.N.