2018年8月25(土)〜26日(日)
日本獣医循環器学会 循環器認定医講習会
神奈川県にある麻布大学で2日間の獣医循環器認定医講習会が開催されました。
この認定医講習会は獣医循環器認定医試験を受ける場合の条件として必要となってきます。
全40時間以上の講習があり、今回は1日目には東京大学の桑原先生および菅野先生、2日目は日本獣医生命科学大学の鈴木先生、田中先生、麻布大学の折戸先生、東京農工大学の福島先生らによるものでした。どの内容も新たに循環器を学ぶ自分にとって、とても刺激のある内容ばかりでした。
今回だけで10もの講座数があり、臨床獣医師において緊急性のある症例やよく遭遇する症例に直結する内容ばかりであり、今後の診療に活用していこうと思います。
H.F
血液化学検査①
小笠原 聖悟先生
小笠原犬猫病院
今回は血液化学検査の目的と種類、そしてその結果を用いてプロブレムリストをつくり、確定診断を行うために必要な検査を考えるという、普段診療の中で何気なく行っていることを症例を用いて基礎から考え直すセミナーでした。
血液化学検査にはスクリーニング検査と呼ばれる無症状動物に対する疾患の検出のために行われる幅広い検査と、確定診断検査があり、確定診断検査は事前に行ったスクリーニング検査結果からプロブレムリストを作り、そこから鑑別診断リストを作り、診断を確定するために必要な検査の事をいいます。実際の症例のデータから、スクリーニング検査として必要な検査を考え、その検査結果の所見からプロブレムリスト、鑑別診断リストを考えるという、診療に近いセミナーでした。自分で考えたプロブレムリストや鑑別診断リストを発表する時間もあり、普段あまり気にしていない検査項目の重要性に気付かされました。
今回話して頂いたプロブレムリストや鑑別診断リストの作成のしかたや、確定診断検査まで行き着くためのプロセスを理解し、これからの診療に活かしていきたいと思いました。
Y.N.
知らなきゃマズイ!熱中症
神津善広先生 北摂夜間救急動物病院院長 北摂ベッツセンター長
今年の夏は特に猛暑で、毎日のようにニュース番組では熱中症で倒れられた方について報道されています。動物は体が小さく、また汗をかかないために放熱が苦手で、人間以上に熱中症になりやすく危険となります。そのため熱中症は動物でも緊急・集中治療となることが多く、今回は動物救急医療の一線で働いておられる神津先生に熱中症について講義して頂きました。
熱中症は、軽症で冷所での安静で対応可能なⅠ度、医療機関での診察が必要になるⅡ度、重症で入院管理が必要になるⅢ度に分類されます。Ⅱ度では倦怠感や嘔吐、虚脱感が現れますが、Ⅲ度になると中枢神経症状、肝臓腎臓機能障害、また最も怖い血液凝固障害が現れ命に関わる問題に陥ります。熱中症では熱による臓器障害だけでなく、例えば腸管の細菌が全身に回ってしまうような、臓器障害に伴う様々な二次的な異常によりさらに重症化に至ってしまうことがとても勉強になりました。
治療法についても先生の実践している方法を、症例を交えながら講義して頂きました。残念ながら熱中症は治療に反応しない症例も多くみられ、最善の手を尽くしても亡くなってしまうことも少なくありません。熱中症は避けられることができるので、飼い主さんたちへの啓蒙も大事なことだと感じました。
T.S.