Improve international ショートコース 腹腔鏡手術(初級)
講師:Eric Monnet
WAHAが開催しているImprove internationalの腹腔鏡手術の講義・セミナーを受講してきました。以前に参加させていただいた外科コースと同様の施設での開催で、最新の設備と器材、そして何より世界的に著名なEric Monnet先生の指導を受けることができ、とても勉強になりました。
腹腔鏡は低侵襲手技ですが、その分安全性には充分に配慮せねばならず特に初めの気腹を行う際の注意点については重要なポイントでした。常にカメラの中に写しながらでないと鉗子を操作してはいけないなど、当たり前かもしれないけど守るべきルールについて確認できました。獣医療で腹腔鏡が最も使用されるのは避妊手術や腹腔内陰睾、肝臓生検、胃固定手術です。それぞれの手術におけるカニューレの位置、どの器具を用いるかなど、基礎から講義していただきました。
獣医療でも腹腔鏡を用いた手術がこれからどんどん増えていくものと予想されます。開腹下での手術のほうが適している手術もあれば、腹腔鏡のほうがメリットが大きい手術もあり、これから適応範囲が広がっていくことが期待される分野となっています。これからも最新の情報を集め、犬猫に負担の少ない手術のために活かしていこうと思います。
T.S.
直腸腫瘍の外科
廉澤剛先生
酪農学園大学 獣医臨床腫瘍学研究室
直腸の腫瘍の診断にはまず、指の触診による直腸検査が重要で、病巣の数や大きさ、腸壁の柔軟性、内腸骨リンパ節の状態などが確認できます。特に腫瘍が筋層まで及んでいると腸壁の柔軟性が失われるため、腫瘍の状態を確認するために触診が一番容易で重要な検査になってきます。腸管の腫瘍は高齢犬で発生し、腺癌が最も多い大腸の病気で、治療の第一選択は外科手術になります。今回のセミナーでは腸管の血管の走行や温存すべき血管などの手術におけるポイントを解説して頂き、直腸の一部に限局する粘膜病巣の場合と、粘膜に限局する全周性/多病巣の場合の手術におけるアプローチの違いを動画つきで解説して頂きました。
これから大腸のがんに出会った場合には、きちんと指による触診で腫瘍の大きさや数、浸潤度合いを確認することを忘れず、手術の際でも今回習ったアプローチ法を手術に活かしていこうと思います。
Y.N.