南が丘動物通信

6月16,17,18日 第106回日本獣医循環器学会、第94回日本獣医麻酔外科学会、第61回日本獣医画像診断学会 春季合同大会 17年06月19日

埼玉で開催された上記大会に参加してきました。

今回循環器学会においては、「EPIC study」と略称される昨年発表された論文について話題になりましたEPIC studyは、ピモベンダンと呼ばれる心臓薬について、イヌの僧帽弁閉鎖不全症に対する有効性を大規模検証した論文です。イヌの僧帽弁閉鎖不全症における病気分類にはACVIMステージ分類というものが使われることが多くなっていますが、ピモベンダンの使用についてはステージCからいうのが推奨でした。しかし、このEPIC studyにより、ステージB2というより早期から使用した方が病期の進行を遅らせることが証明されました。この事実は、僧帽弁閉鎖不全症のイヌの生存期間を延長できる可能性を示唆しています。そのためには、定期検査と正確な診断が必要不可欠となります。当院もこの事実を基に、僧帽弁閉鎖不全症に苦しむワンちゃんとその飼い主様のために、内科、外科両面から1日でも長く楽に暮らせるより良い治療を提案していきたいと思います。

T.H.

6月16日 志学会月例会 17年06月16日

一般臨床家ができる獣医整形外科

岸上獣医科病院 岸上 義弘 先生

 脱臼や骨折といった整形疾患はいつどんな時でも起きる可能性のある疾患です。そのため、如何なるときにおいても対応できる必要があります。

今回のセミナーでは一般臨床家向けの膝蓋骨脱臼及び骨折に対して岸上先生から治療方法、日本の獣医整形外科の実際に関する講義を受けました。

 膝蓋骨は太ももにある筋肉(大腿四頭筋)の機能に関わっている骨であり、膝蓋骨脱臼が起きると脛骨が内旋、つまり骨が歪む原因となります。膝蓋骨を安定化させる手術で治療可能ですが、コルセットと合わせた持続的な膝窩筋のストレッチで治る症例もあります。

 骨折の治療法にはプレートを用いる方法とピンを用いる創外固定法があり、それぞれ症例に合わせたメリット、デメリットをうまく使い分けることが大切であり、そのため一概にプレート法が良い、創外固定法が良いというわけではないと言われています

 整形疾患はその子の性格(気性が荒い、穏やかetcで完治までの期間が変わる可能性があるため、その子に合った治療法を見つけることが大切であると思います。

H.F.