大阪で行われました第6回日本獣医がん学会に参加してきました。シンポジウムは「雌性生殖器腫瘍」という命題で、様々な先生にご講演いただきました。卵巣腫瘍が腹腔内に播種した際に用いられる抗癌剤腹腔内投与の効果や、膣にできた腫瘍へのアプローチ法など非常に興味深く聞かせていただきました。また、各腫瘍の病理所見を学ぶことができ、実際の臨床での病態生理を理解するのに非常に有用であると感じました。
腫瘍学セミナー 神経系腫瘍
酪農学園大学 廉澤 剛 先生
今回は、神経系腫瘍について、学びました。神経の腫瘍は、体表腫瘍と比較して、分かりにくく、また、動物は言葉が話せないため、症状が曖昧な場合があります。神経系腫瘍の鑑別に、単純レントゲン検査、造影検査、CTやMRIなどがあります。動物では脊髄造影は、2箇所から行う検査で、それぞれのメリット、デメリットと、検査のコツを学びました。また脊椎、脊髄の異常には、腫瘍以外にも、椎間板ヘルニアや、骨折、椎間板脊椎炎といった感染症があります。特に椎間板脊椎炎は、あまり良くある病気ではないですが、レントゲンでは特徴的な所見を示します。貴重な症例を見ながら注意するポイントを学びました。最後に貴重な症例を2例を学びました。神経系腫瘍はあまり多くない腫瘍です。それゆえに今回の、セミナーはとても貴重なものだと思いました。
臨床現場におけるインターフェロンの応用
共立製薬営業技術部学術科 保志昌子先生
インターフェロンはT細胞やNK細胞などの免疫担当細胞を活性化し、抗腫瘍作用を示すことが近年報告されています。本セミナーではインターフェロンによる抗腫瘍効果のメカニズムや、実際にインターフェロンが有効であった症例を紹介していただきました。特に、犬の肥満細胞腫、悪性黒色腫、上皮向性リンパ腫で効果が認められたようです。インターフェロンの抗癌作用はまだまだ未知の部分があり、新しいがん治療の一つになるのではないかと期待されます。
眼の免疫介在性疾患
ファーブル動物病院眼科
山下 真先生
眼における免疫介在性疾患は局所的にも、全身性疾患の一症状としても現れます。治療にはステロイドが必要になりますが、ステロイド点眼における投与経路や力価について再確認することができました。眼疾患においてもステロイド剤は漸減が必要であるなど、大変勉強になりました。
知っておきたい免疫抑制剤
湯木どうぶつ病院
湯木 正史先生
ステロイドを長期にわたって継続使用する際には免疫抑制剤を併用することでステロイドの用量を減らすことができます。近年では多くの免疫抑制剤があり、その薬理作用から適用まで基礎から学ぶことができました。各免疫抑制剤の組み合わせなど先生の経験だけでなく、最新の研究からも多くのデータを参考としており、エビデンスを重視した講演でした。