10月30日第20回中部小動物臨床研究発表会
名古屋にある会場で行われた研究発表会に参加致しました。この発表会は、各動物病院で、遭遇した報告の少ない症例などを発表する症例発表会であり、当院も院長が「遅発性ナルコレプシーを発症したミニチュアダックスフントの1例」を発表致しました。他の獣医師の経験症例を聞く事は知識の共有に繋がりとても勉強になりました。また教育講演が別にあり一時間半に渡る講演が同時間に6題あり、各自がそれぞれ興味を持っている題を選択するようになっていました。その中の1つが永田雅彦先生の「知っているつもりでは困る犬のニキビダニ症」でありました。ニキビダニ症は、日常でよく遭遇する疾患です。しかし、それゆえに、意外に見落としがちなニキビダニの症状や、ニキビダニの診断のコツ、先生の治療の方法を理論立てて教わり、とても勉強になりました。今後の診察に繋げていきたいと思います。
放射線療法について
酪農学園大学 廉澤剛先生
放射線療法は、外科手術、化学療法に加わる腫瘍性疾患の代表的な治療法のひとつとして選択される機会が近年増えております。鼻腔内腫瘍など、腫瘍の発生部位によって外科手術が困難な症例では放射線療法は非常に有効な場合があります。今回のセミナーでは、猫の鼻腔内に発生した間葉系腫瘍の1例や犬の下顎歯肉に発生した扁平上皮癌の1例など実際の症例について、放射線療法の治療効果を写真を交えて講義していただきました。
「血液の正常値」その裏に隠された謎を解く!
IDEXXラボラトリーズ デニスB.デニコーラ先生
今回は、普段行う血液検査の解釈について、様々な症例を示しながら講演していただきました。
血液検査の項目ひとつずつでは解釈しにくいことも総合的に考えると様々なことが読み取れます。
血球計算機、血液塗沫などそれぞれの検査の特徴を再認識できました。
今井彩子先生
今回のセミナーは麻酔のモニターについてご講演いただきました。血圧、ETCO2などのモニターについて、その病態生理を含め分かりやすく教えていただきました。
実践的な内容で、安全な麻酔を考えていく上で、非常に有用なセミナーでした。
犬毛包虫症と疥癬の診断と治療
東京農工大学獣医内科学研究室
岩崎利郎先生
今回の皮膚科学セミナーでは疥癬と毛包虫症について学びました。
まずは代表的な外部寄生虫症を診断するための検査方法について教わりました。疥癬と毛包虫症は、この中でスクレーピングという皮膚を削り取る検査で診断することができますが、同じスクレーピングでも、疥癬を疑う場合と毛包虫症を疑う場合では採取したい部分が違うため方法が異なります。
ここで正しく診断できたらイベルメクチンやミルベマイシン、アミトラズで治療していくのですが、その際に注意すべきなのはMDR1遺伝子の異常です。MDR1欠損をもつコリー系の堅守にイベルメクチン等を使用した際に重篤な副作用を起こす原因である遺伝子の変異についても詳しくお話ししていただきました。
今回学んだことを頭に置いて、効果的で安全な治療を行っていきたいと思います。