犬の肺高血圧症 病態の理解とそれに応じた治療戦略
亀島聡先生 北里大学小動物第一内科研究室講師
今回は犬の肺高血圧症についての講義でした。以前は犬糸状虫症(フィラリア症)が原因のものが多かったですが、現在では小型犬の僧帽弁閉鎖不全症の悪化による肺高血圧症に遭遇することがあります。その症状が失神であったり腹水貯留で、ご家族にとってはショッキングなもので、その病態の理解をしていくことでご家族にも病気についてご説明がしやすくなります。
診断方法もいくつか方法がありますが、心臓カテーテル検査が難しい獣医療ではやはり心臓エコー検査が最も重要で、三尖弁逆流速度とそのほかの所見を組合わせて行います。しかし治療においては検査所見と併せて臨床症状を呈しているかが大事で、その開始には慎重な判断が求められます。また僧帽弁閉鎖不全症の治療を強化することの必要性も再認識しました。以前から言われていた、ベラプラストナトリウムについても知見が聞けました。
T.S.