南が丘動物通信

外耳炎に対する抗生剤使用 21年08月20日

外耳炎の感染症治療に内服で抗菌薬を使用することはありますが、適切な外用薬を使用することが大切です。

いぬの耳.png

急性で外耳炎になった場合、耳道感染の原因となるのは浮遊性、つまりは抗菌薬に反応しやすい性質をもつ微生物です。このような症例には、内服で抗生剤を使用する全身性の抗菌薬療法が有効な場合があります。しかし、慢性的な外耳炎では、この微生物が外耳道壁の表面に固着・着生し、バイオフィルムを形成します。バイオフィルムの内側の微生物は、浮遊している微生物に比べて100〜1000倍の抗菌薬耐性があると言われており、このような症例では、全身性抗菌療法ではあまり大きな効果は期待できません。それどころか、同じ抗生剤を長期間使用することで耐性菌を生む可能性すらあります。慢性の外耳炎だけでなく、すべての外耳炎症例にバイオフィルムが存在する可能性があるため、細菌性外耳炎において、抗菌薬の全身療法のみよりも局所療法、またはそのどちらもを選択する方が、外耳道内の抗菌薬の局所濃度が高くなり、浮遊性およびバイオフィルム性細菌の両方に対して効果が期待できるため、急性・慢性外耳炎において局所の点耳薬での治療が推奨されます。慢性の外耳炎になってしまう前に早めのご来院お待ちしてます。

K.G