今回はワンちゃんの攻撃行動についてお話ししていこうと思います。まず、初めに述べておきたいのが、犬の攻撃行動の多くは身体的、精神的な異常によるものもありますが、その多くが、"自分の身を守るための正常行動"であるということです。
ワンちゃんに攻撃行動が見られる時は、何かしらの攻撃行動に対するきっかけがあります。例えば自分の生活スペースを脅かされたくない、自分のご飯を取られたくない、触られるのが怖い、遊びに関連した攻撃行動(子犬)など原因は様々です。つまり、攻撃行動が起こるには、"そのきっかけとなる動機付け"があり、そのきっかけをつくる"対象"がいることで成立するということになります。とどのつまり、飼い主の行動がきっかけを作り、それが誘因になって攻撃行動を成立させていることが多いということです。ですので、まずはどういう時に、何をしたら怒るのか?を正しく分析することが大事になってきます。その前後の様子を動画におさめて相談しにきていただくと診断の手掛かりになります。
もちろん、神経学的な異常、神経内分泌的な異常、代謝性疾患、感覚器異常、腫瘍、炎症、感染症、中毒などの"身体的な異常"が原因になっていることもあるので、必ず事前に血液検査や糞便検査は必要になってきます。
治療について述べていきます。
たまに大人しくなる薬や鎮静剤はないの?という質問を受けることがあります。ここでいう"抗うつ薬"を使うこともありますが、メインではなく、あくまで補助的に恐怖や不安を抑制するものであり、根本的な解決にはならないので無闇に使うものではありません。
メインは
①攻撃行動させないようにする(ケージの中で生活させる、不用意に撫でたりしないなど)②誘因になる刺激と状況の排除(環境整備)
③系統的脱感作療法、拮抗条件付けなどの行動修正法
④飼い主様とワンちゃんの信頼関係構築のトレーニング
これらを組み合わせながら時間をかけて改善していく流れになります。
しっかりと原因を突き止めて、治療暑いはワンちゃんの気持ちを汲み取って、ご家族の皆様とワンちゃんとの間の信頼関係を構築することができればお互い快適な生活を送ることができますので、お困りの方が一度相談してみてください。
R I