今月の志学会は、「猫の心筋症のあれこれ(ACVIMガイドラインを参考に)」というテーマで、大阪府立大学生命環境科学領域付属獣医臨床センターの島村俊介先生に講演していただきました。
ACVIMとは全米獣医内科学会という獣医内科の専門家集団のことで、心臓の専門家が定めたガイドラインに基づいてアメリカでは猫の心筋症の診断や治療を行っています。
心疾患は猫の10大死因の一つで、心筋症は猫の心疾患で最も多いことがわかっています。
心筋症の診断は超音波検査で行うことがほとんどです、今回のセミナーでは超音波検査以外の診断方法でどこまで心筋症を疑えるのかをメインテーマとして教えていただきました。
心筋症の最も一般的な兆候が呼吸困難で、その他の徴候として食欲不振、不全麻痺、突然死が挙げられます。さらに心筋症からくるうっ血性心不全では呼吸数が80回/分以上、直腸温が37.5度未満、心拍数が200bpm以上で呼吸に影響する心不全がみられるなど、問診や視診、聴診などから得られる情報で心筋症が疑えることがわかりました。
レントゲンも心筋症を疑う所見はでてきますがそれだけでは不十分で、NTーproBNPといった心室に負荷がかかったときに上昇するバイオマーカーを呼吸困難などの症状と組み合わせることで、真菌症からくる心原性肺水腫の診断は可能であることがわかりました。
心筋症の診断にはエコーは必要不可欠ですが、それだけではなく、問診や聴診にレントゲン、心臓のバイオマーカーの検査を組み合わせることである程度の診断は可能であることがわかり、とても勉強になる講義でした。
今回得た知識を日々の診療に活かしていきたいと思います。
Y.N.