南が丘動物通信

やけどは冬の風物詩?  20年12月05日

やけど=熱傷は高温度の熱刺激によって起こる、皮膚や生体の変化をさしますが、人間とおなじようにわんちゃんやねこちゃんでも家庭内で発症する危険性があります。

熱傷は頻繁に起こることではありませんが、やはり、冬に出会うことが多い気がします。たとえば当院でもスープの配ぜん中にわんちゃんがはしゃいでしまって事故がおこった子が来院したことがありました。

ごく軽症であれば、応急処置で済んでしまうこともありますが、人間と同様、熱傷の範囲が深く広い場合には、皮膚だけでなく全身症状を引き起こし、ショック状態にまで陥ってしまうこともあるので、たかがやけど、とはなかなか言えません。特に、人間とは違って動物は毛におおわれているので、軽い熱傷に見えて、実は深い損傷になっていることもあり、その点も要注意ですね。

蒸気や熱湯、熱した油などがかかってしまったり、電気ヒートパッドやつかいすてカイロ、ヒーターやドライヤー、ストーブ(特に高齢で寝たきりの動物は要注意です)。車やオートバイのマフラーで外飼の猫ちゃんがやけどする、というのも聞いたことがあります。身近な危険はいっぱいですね。季節は違いますが、他に真夏のアスファルトでの火傷しちゃったわんちゃんも来院されたことはありますね。

そんな火傷について、もしも、受傷してしまったら・・・という内容を今回は紹介したいと思います。

まず、受傷直後 2時間以内であれば、患部を3-17℃の生理食塩水または水道水で約30分間冷やすことが推奨されます。ただし、全身が冷え切ってしまわないように注意です。全身を冷水で冷やすと逆に低体温ショックを引き起こす可能性があります。ある程度ぬるいものが良いです。それから、2時間以上経過している場合は、基本的には冷やす意味はないと言われておりますので、そのまま来院されることをすすめます。可能であれば患部と周囲の毛を刈りたいですが、自宅でハサミでカットするのは皮膚を切ってしまうこともあるので、無理はせずに病院で処置することをすすめます。

ただし、熱傷の痛みのために、興奮状態にある子については安全に冷やすことが難しいため、無理に冷やすことはせずに病院に早めに来ていただいた方がいいですね。

また、体表面積の20-30%以上について深い熱傷を負った場合は、ショック状態に陥っている可能性もあり、その場合は一刻を争いますので、慌てず病院に連絡してください。そのような場合は皮膚よりも全身的な治療を優先させていきます。

他に、お話しておかないといけないことは、熱傷自体の深度が判明するのに通常は数日(深度によるが5日~10日)かかり、治療経過とともに、皮膚の壊死部が広がってくる(ように見える)ことです。はじめの段階ではわからない部分があるため、やけどは単なるやけどとはいいがたく、受傷その後もよく診ていく必要があります。

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